鳥になり世界の春を俯瞰して 誰かの流す涙愛した
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来し方も行く末もただ桜にて慣れし山路に惑ひぬるかな
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桜塗り「もっとピンクに」正されて図画工作をきらいになった
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新しい朝がきた希望の朝だ 昨日絶望したから言える
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文庫本に挟んで忘れられている栞みたいな人でありたい
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五七五七七の句をドラム譜の八分音符に乗せて味わう
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夜を編む神の気まぐれひとときの夕焼け空を仰ぐ人の子
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ああいえば こういう人が 偶にいて 私は反論 されるのが怖い
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にんげんが よろこぶところが すきなのです あめかぜしのぐ わたしはかーてん
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本棚に入らないから横にして入れる画集の専用の棚
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昨日君が捨てた歯ブラシ 今日俺が差し出す歯ブラシ やり直しだね
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もうこれで終わりにすると泣いた君 翌朝LINE「部屋行っていい?」
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小一でリップを万引きしなかった私がいるマルチバースの隅
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来世らいせでもめぐり逢えると信じてる 日々大切に生きる今生こんじょう
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ロングから刈り上げにした首筋のジョリジョリ愛し私は私
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花曇り春雨しとしと続くとか体もきっと曇天となる
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キン肉マン 全超人が欲しい兄好きなキャラだけ欲しい弟
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珈琲の無糖に慣れてきた舌がたまらなくでバナナ・オ・レの日
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あこがれた日々は終わって黒い春田舎に帰る荷物は重し
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かんたんな服でつっかけ擦り歩き春のよどみをかき混ぜている
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トラックで通れぬ道を違えればこんな桜に呼ばれていたのだ
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首もとにピンクのスカーフひらひらと少し冷たい春風の朝
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みづくきの岡にそびゆる学舎まなびやの古びて時の流れぞ知るる
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セーラー服のリボンが上手く結べずにまっすぐ飛べない蝶であった日
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人づてにきみの就職先を知る 連絡網は更新された
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五七五七七完成感情の圧縮ファイル さあ今叫べ
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天皇おほきみに命捧げし益荒男ますらをの誉花咲く靖国の宮
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夢なかで自在に泳ぎまわったが時間切れにて溺れはじめた
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春の陽の海が輝く 振り向けば砂丘に足あと
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桜花今や咲くらむ吉野山麓も峰も同じ白雲
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