一粒の 5mgの眠剤を 飲んで唱える 早く、早くと
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地獄なんて 人の作った 概念で 墜ちたところで 既に死んでる
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顔は笑って いても心は 泣きそうで 家族揃っての 夕飯が辛い
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団欒だんらんの 時に生きる資格の ない僕は 幸せそうに 演じているだけ
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怖いけど此処にいてもしょうがない貴方がいない私もいない
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貴方には思いばかりを話してたごめんね重いありがと貴方
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信じたいけれどどの糸たぐればいいみんな みんなのせいで面倒
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悪役が「次の階梯ステージへ行かん」と叫ぶ狂気もわかる停滞
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しゃぼん玉のきらきらがあさってのほうの屋根まで飛んではじけてうつむく
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恐がっちゃだめだひとつだけ踏みだしてあなたと瞳をあわせていくの
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底抜けにこどものつもりだったのに眉間の皺の下卑た哀愁
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深夜にて籠もるバナナのあまい香りそくばくてきな檻のなかみたい
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生きるため最低限でもF難度 人は賢くなりすぎたのか
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貴方の所為 融けた心を削り取る ラクレットみたい笑っちゃうよね
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千本の鳥居くぐりたりまだ母と親子ごっこができてた頃に
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中指でたどる左に巻くつむじ ここを世界の中心とする
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助手席から 君の声が しないのは それはもはや 違和感でしかない
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この言葉 舐めると少し甘いでしょう? だって優しさとは違うもの
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あの日から忘れられなくなりました 鬱を漢字で書けます、私
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君がまた明日も歩いてゆくために僕はここでお茶を淹れるよ
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ぴったりに 三十一文字に 詠まなくていい 僕は3句目の 字余りが好き
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万葉仮名って とっても面白い 暴走族の 「夜露死苦ヨロシク」と 同じノリ
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庭に咲く月下美人を見る美人 見れない僕を見る月兎
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背表紙に 映る貴方の まなざしは 電子書籍じゃ 出逢えなかった
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いつもなら 二口で食べる ミニあんぱん ちまちま五口に分け食べる(※恋)
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「錠剤の成分表は芸術」と、月を眺める人狼病者
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灰色の 冷たい空に 染み入って ぼやけた牡丹色のマフラー
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瑠璃色の ニットを深くかぶっても 太刀打ちできぬ 深遠の森
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あの石に 戻りたいから 今日も僕は 琥珀色のコートを羽織る
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青柳の饅頭食べてその柳しだれる様に舌鼓せむ
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