白む空 ほうじ茶と落ち葉 土の匂い 秋に吹く風かき混ぜてゆく
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君を知り 知り求めるもまだ知れず 知りとて変わる 人の心よ
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饒舌な 言葉の海に 浮かぶのは  ホコリという名の 黒い泡沫
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来世での良い親ガチャの当て方を紅茶が冷めるまで熟慮する
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喰いしばり毎夜強いと言われたが上と下の歯恋仲なのか
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公園で色づき降りた赤子の手ちょうどそのまましおりにしよう
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どうでもいい なんでもいいと 言いながら でもとだってを 繰り返す日々
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虚しさと 倦怠感で出来ている 向かいのバファリン 片付けて寝る
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どうだっていい日はなくて硬くなる感情もよく湯船でほぐす
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沿線にコスモスの群れ揺れていて天国へ行くみたいに列車
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植物の生殖器及び付属器を見るのがやけに好きなわれわれ
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昨晩にすじこを漬けた というわけで 今日は定時で帰りますです
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つたう汗涙の跡を隠してく 強がり男子青い春駆け
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ひさびさに 活気付いたわ シナプスが  新しい芽を 増やす楽しみ
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授業中君の横顔見る今だけは時よ止まってくれないか
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いつもより早い時間の特急の 窓から見るは 陽 照らす街
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心臓の奥に隠した仄暗い想いを誤魔化し君と笑う
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またひとつ「まさか」の坂を くだりゆく 其処そこに行くこと それもまた良し
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しがらみが 遠く感じる  日も近し 心のコリが ほぐされてゆく
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前屈のノリだったんだ、そのおじぎ 褒められるなら…まあいいの、かな
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平凡で頭のネジがぶっ飛んだ女装が似合う主人公受け
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「初めからなかったことにしたいけど、そうもいかないから生きていく」
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泣きくれて疲れて作るラッシーに砂糖をすこし多めに入れる
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コンビニのレジのすぐ前 おさな子はのど飴の箱積んで楽しげ
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さわさあと 風に舞う 竹林の 天へとのぼる 龍の舞かな
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パンクしたタイヤ交換 やり遂げた達成感はどこから来るの?
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そういえば素顔を知らぬ知人増え マスクなしだと分からないかも
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男なら立って勝負と我が恩師起立促す男子校消え
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内緒だよ指切りひとつ交わす夜ふたりで背負う消えない傷を
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封切らぬ手紙一箱、引っ越しのたびに運んで今年も暮れぬ
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