「○○○○」 と 文字にしてみて気づいたよ 「それは違う」 と 「生きていたい」 と
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寒月の ふとしたときのきらめきは 屋根よ お前のせつなさなのか
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「この羽根を削って機を織ることを封じられたら、なにもできない」
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争いを遠巻きにして見ていると人間やってる気がしませんか
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フリルとかレースのついた上着では 守れなかった ぼくの爪先
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もう僕は 桜の花も恐くない 夜も大して寒くはないし
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あなたが好きだと言うから買ってきた ジンギスカンが食べきれなくて
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君の手に触れてみたくてシャープペンわざと落とした火曜日の午後
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矢継ぎ早にかわりにしゃべってくれるから 言葉をなくした予測変換
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雪が降る日は少しだけ暖かで 三年ぶりにメヌエット弾く
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有り得たかもしれぬ未来ばっかりが増えていくのだ こんな部屋から
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診療所マスク患者が出ては入る開け放たれた玄関のドア
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サボテンに水をやる土曜日の昼 あなたに置いていかれた同士
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ぬいぐるみのアルパカはどれも姿勢よく見えてる首が延びてるだけで
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鎌倉の 海は広いな 大きいな トンビが歌い カレーもうまい
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災害は忘れぬうちにやって来てウイルスにはダメージはなし
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目がキョロリ冬曙が家々の合い間から登り青空澄むか
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二千年置かれた場所で生きること 証としてそら きみの青さよ
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朝起きて今日も世界は平和ではないと確認して人になる
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黒板に薄く残った数式よ 私のことは忘れないでね
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さてと取りかかる相手は最強のシンクを塞ぐ洗い物たち
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手の赤が白い紙面によく映えて 冬 おれたちはヒロインだった
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茶だんすの奥に未封の赤ワイン今夜飲もうか一人飲もうか
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真っ白な雪のかたちの帽子あり朝焼けが降るなだらかな丘
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「好き」 という ひどく無邪気な弾丸で 君を殺めるつもりはなかった
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「好き」「嫌い」「好き」と花びらちぎったら「嫌い」で終わってやり直す恋
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噛み合わぬ言葉とことばその棘が描いた名もなき絵ならきれいだ
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かなしいと思う時間が薄れてもギタリストの爪また伸びにけり
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僕たちはみな飢える者 片付けが巧いか下手かだけの違いで
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残り物シンクに流して唱えてる 皆幸せでありますように
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