欠伸して呑み込む夜を深夜とし朝の春曉に縋りつきたい
1
深夜なら春に還れぬ花びらがソメイヨシノとして揺れている
1
声を捨て得た足はずっと痛いままいつか泡になる日を待ってる
2
忘れてた痛み足首に覚えれば今ままで春の心地だったか
1
荒縄の縛り解かれ生き返る生垣のヒバ春の伸びする
0
いつもある 君の笑顔に 笑う俺 君がいないと 笑えるだろか
4
君が居ぬ こころの穴の 大きさに 別れて気づく 君のツラさを
6
誰も彼も目覚めたくはないいつまでも楽しい夢を見ていたいから
3
饒舌に【むすめ】を語るあの人は 知ったかぶりの 母ロボだった
5
うるせえよ クソな現実につける解釈 バカにつける薬ねえいっぺん死んでワッショイ
2
コロナ禍と物価高で距離が増え音を上げ始めた足をいたわる
2
100円の青ボールペン「これだよー」ずっと探してた出会えた幸せ
6
背のひくい順序にいれる鉛筆がドレミファみたいにならぶ筆箱
22
上弦はDで下弦はCのかた 背負われ 覚えた 幼少の月
4
歳かさね分かってきた平穏な日々送れる事の喜び
4
綱渡りそんな気持ちで生きている 無事に1日が終わりホットミルク飲む
5
愛おしい貴方を想うだけの壁。無くなった今また見えぬ壁
6
来年の自分のために学年と名前を分けたシールを作る
2
この里に幾世の春を送りぬと問へど答へぬ井手の山吹
3
七重八重花咲く井手の山吹を都の人もとへとこそ思へ
2
鉛筆を止める自由律短歌と云うのは詩が無ければただの散文
5
酒飲もうどうせ限りの在る吾ら死ぬ時あらば死ねばよかろう
4
テレビではお門違いのゲスト等がどんな問にも自論?を語る
1
色褪せてならば根を張れ葉を開け雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)
1
中空のMAXパンチこりゃ何と戻し十倍を買う
1
才能に嫉妬する君に嫉妬する 私だけ見て、なんて、わがまま
2
炭酸の泡のはじける後先は見つめていても測れなかった
4
新入生歓迎コンパで飲酒して死んで悼まれるような果報
1
水曜と木曜の間が苦しいの 深夜、貴女の声が聴きたい
11
薄紅の桜のついたかんざしを二人選んだ一昨年の春
2