どの人も愛称で呼ぶ大下は彼氏のことを本名で呼ぶ
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記憶など縋りつくもの曖昧で拝啓初夏の風は爽やか
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真夜中に君の拳で爆ぜている頭は心可燃ごみだね
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孤独とは対戦相手ではなくておなじ方みる静寂の母
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ベーグルと塩バターロール焼いたよ!のラインの罠は香りが出ない
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暗くして音を抑えて雨音とアンドレギャニオンに包まれる
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ともだちがミルクを人肌にする午後 ポケモンマスターとして煌めく
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藤の花 今よと伸びて むらさきが 森を飲み込む カッコウがなく 
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ドライブの車窓にみえる藤の花だんだら模様 森をのみこむ
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また行こう日帰り旅行もいいよねとおやすみの前ゆっくり瞬き
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お休みはあっという間 目覚ましを、いつもの時間にセットしなおす
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挫折から 復活してくアスリート カッコええなぁ 背中押される
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結晶の尖る方へと走ってけ私の中にまだ浅き黒
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非凡な私を恨むけれどどうせ百年後にはみな死んでる
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赤道を越えなきゃ会えない距離にいる あいたい気持ちのゆきさきは北
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打捨てるにはあまりにも忍びなく いつまでも置く切り花 一輪
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もう俺が 俺でいれるの 人生✕✕だけだ 楽しむ棄てた 勝ちを貪むさぼ
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付箋はがした本をブックオフに売る 小さな転生繰り返すとき
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目に留まる 昔好んだ Tシャツを 年甲斐もなく 気分高まる
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そこにあるひとつの死すら透明になってしまった駅に埋もれて
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多分味わかってないけど「美味しい」と言い合っている夜、永遠であれ
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世界ごと失ってしまうかもしれないあの子の実家の犬が死んだら
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憂さ晴らし しても気持ちは晴れないが 君の応援 すごく聴こえた
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誰にでも 優しくありたい 我だけど 君にだけは 激しい愛撫
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犬みたい わたしに決して逆らわず 快楽だけを求めるすがた
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バイバイと バスに乗り込む 末娘 うち出て二年 大人になりし
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保険適用し900円の治療費で私異常ないらしい
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ゲームすら自分でやるのメンドイと 人のやっている動画大好き
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遊ばない玩具と兜鯉のぼり 五月七日は「お片付けの日」
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子どもらが金銀の皿頼むので地味な小皿とガリで調整
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