「あと五分」無慈悲な声にとりあえず空欄は全部ミトコンドリア
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この夜を美化するときが来るのだろう そんな日は一生来なくていい
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好きですと 伝えられずに また1年 未だに連絡 してしまう
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逍遥に 人気の知らぬ ところまで 夏めく風の 感じるままに
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指穴の歪んだ楕円右左顔に見えなくなくもない虚
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肉体を殺したつもりで実際は殺されていた側の魂
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バカンスの「バカ」に属する俺たちを揉みくちゃにせよグッピーの群れ
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夏かった 手持ち扇風(機) 暖房の サーキュレーター 再利用
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はじめての夢で痛みで宝物でくさびだったあなた、さよなら
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夜深く 今すぐやるべきことは何 まず片付けと とにかく寝ること
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今ここに与えられてるポジションに 優劣なんか つけちゃいけない
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自らの薄っぺらさに気づかない 無形のものになりたかったよ
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化け物にされたわけではない 僕だ僕がなりたくてなっただけだ
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通学路 電車の窓のケンタッキー これからも行かないだろう場所
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コピー機の用紙の温度 暖かいだけで寄り添いはしない温度
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父親に殴られた頬が痛む日も バッハの音はいつもきよらか
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冷える夜 母と飲むお茶 ほっとする やはり私は あなたの娘
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あかね色に夏のぼくらが染まるたび鳴る鐘やがて母の呼ぶ声
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適当に投げてかかった電線を伝った電気が夜に零れる
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音楽よこの内臓ごと犯してよ貴方のいないこの痛みごと
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あなたへの愛をささやく代わりに影を踏むここから動かないで
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けむる街ながめはすれど見えはせぬ貴方の家の建つ場所までは
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「おお、みかん」「おみかん」「みかん」段々と俗に転がってゆく不安感
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不機嫌の空気感染防げれば、笑顔の理由はそこらじゅうに
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ブイヤベースもトムヤンクンも美味いけどやっぱり郷里の鍋が一番
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部屋暑し情事の後の四畳半足を伸ばしてヒーターを消す
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未だ知らぬきみの言葉に耳すますひどく澄んでる空が降ってる
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脳せんい ひとときばっと ふえるけど いるもののこし  だんだんきえる (岐路も)
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はるめいた ひざしなんだが ふぇいんとで かんぱひかえる うらはらな人
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運転の荒いバスでも愛しさがどこかにあるので定期券です
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