町角を曲がれば知らぬ夜の道遠くの方で犬が啼きゐる
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古本を買つて帰ればベランダで日の蔭るまで風通しする
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水面に落ちたる蝶がもがきゐて近づく鯉が食べてしまひぬ
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短歌とは虚構・愛と死・非の器・心の旅と塚本邦雄
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お葬式「誰の?」と問えば「あなたの」と答えた顔がまた俺の顔
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夢の中 懐かしき声 振り返る おぼろに見える 旅だった君
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うちがわの かんじょうそとに あらわにし こころの濃度を さげている、歌。
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横浜に向かうくらいの気軽さで貴方の生まれた島に行きたい
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真ん中にふわり浮いては横切って悪さもせずに消えた黒い蛾
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眠れない夜カーテンの向こう側騒ぐカラスはどうやら三羽
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うわ〜しょぼ〜。だからサボらずレベル上げ。一生懸命やっておやすみ💤
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職業名ついた紙なんて見たくない。名前も知らないまんま会いたい
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いつまでもここにいたいとねがうけど夜は去ってく今日よさよなら
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日が変わる前に寝ようと十一時五十五分に息吐き尽くす
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じりじりと 頬から汗が 噴き出して ミストと混じる 癒されタイム 
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「過ちは二度繰り返し気付きある」絶対しない三度の結婚
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自然光はいる部屋にて誓われる真っ当なふたり真っ当な家族
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ライヴ前キャノン端子のオスメスも相手がいるのに シールドを巻く
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波際に並んで立てばあしたには海亀が連れ去ってくれるよ
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息を吸い また息を吸って 息を吐く  柔らかな舌心地なる風
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葛藤を抜けた五月の夜の淵 熱い瞼を風が撫ぜゆく
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ああ待って ノブに手をかけ ひねる君 迫る大群 死者の行進
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切り分けた林檎のような二人でもいつかは乾いて腐っていくのだ
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日曜のうどんチャーハン焼きそばも今なら飽きず食べられるのに
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この想いいつか届けば良いのにと長めに書いて下書き保存
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俺はさぁ 人の幸せ願えない。 恨み怒りで 生きる屍      ごめん。
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でたらめな弔い方だけ焼き付けて悲しみ方は置き去りにした
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眩しさを湿った土の下で待つ蛹のように夏に焦がれる
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非破壊の検査・構造解析は破断しかけの二人に不要
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罪人は柘榴のしたで座して待つ残夏を覆うざざ降りの雨
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