午前四時集合住宅流水音 自分以外の誰かの存在
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早朝にカフェラテ作ってくれるけど、第一あなたの愛は甘すぎて
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今年また 光のどけき 春の日に 舞い踊りたる 花の散るらん
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ピョルンラハツァルクという懐かしい名を懐かしい本の中に見つける
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無限回トイレに入り同じだけ出てくるだけの人生だった
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Cdを最小にする乗り方でスピードとスタイルの先へと
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部屋中の想い出詰めたゴミ袋 一息置いて死神を呼ぶ
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真円を目指して丸くなる猫の渦巻いてゐる喉から春雷
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家移りのやうつり 役割終えた 段ボール 疲労と共に ミルフィーユにする
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案外 セルフレジは 空いていて 突撃する 武田騎馬隊
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ナメック星の ドラゴンボール ずるない?(笑) てかお前んちウォーターサーバーあんの? これどうやって水出すん?
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住民課 転居届けの 列をなす 卯の月最初の月曜と気づく
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一日に数本しか無いバスよりも長い登りを自転車全開
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さあ今宵わたしに酔ってくれますか? 丑三つ時にしゃれこむよふかし
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今晩で終わるかもの関係性 口紅痕リップマークだけでもさせてよ
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海なんてまだ小さいと言うくらい言葉にできぬ感情がある
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おさなごを背負っていけば磁石ごと子は寝ていたり物言わぬ月
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真面目では疲れてしまうタンポポの綿毛になって空を飛びたい
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おひさまが全てのものを照らしてる失くしたものを探せるように
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散る花が空をめいめい切り取って溢れ出てくる思い出がある
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さくらばな夜風に散った花びらの柔き刃に胸突き抜かれ
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春風にビニールハウス輝いて遥か遠くの海辺のごとく
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盥から溢れでる水わすれても忘れきっても思い出の澱
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お日様が体に沁みる左手に右手添えれば春のぬくもり
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いつだって私はわたしの外にいて窓の小さな牢獄の中
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子育てを知ったかぶりの口先に 胸にじわっと桜舞う酒
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猫たちが鍵盤を踏む昼下がり仮面の向こうに平和は或るや
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戦場に平和来たれば兵器にも雪の積もりてメリー・クリスマス
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乳を飲み可愛い仔牛という君よ明日屠られて金網のうえ
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将来という言葉に怯えずにいられたのはいつまでだったか
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