ネギ多め、中太麺で無化調の鶏白湯に半熟卵
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じゃがいもを一センチ角に切りながら 今日も何にも変われなかったな
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鍵盤に置いた右手と左手が錆びた音出す師を想いつつ
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鶯をメジロと思ってた頃のわたしは夏を待っていたのに
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無造作に差し伸べられた手のひらのあたたかさだけで泣ける日もある
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ヤマアラシ眠る傷つけないために私たち笑う傷つかないために
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5歳ではお花屋さんって言ったけどいまはなに屋か言えないでいる
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YouTubeに 甥は生業 見つけだし 今を生きてる 少し羨む
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菜種梅雨 その長雨があればこそ 新緑光る 五月に会える
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帰る家 それは桜を植えた家でもなくて あなたが待つ場所
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姉の名の ふりかけある事 嫉妬して 拗ねた紫色の思い出
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偶然を装い開けた車窓からとうとう流れてこなかった桜
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水っぽい底に残ったに違いないコーヒーの置いた夜はまだ早い
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ミャクミャクの託宣があり二年後に奴らを祀る祝祭をする
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年一回検査のために採血と、あれ?満たされぬ紙コップの中
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先生と話し込んでる妻来ない 年長生に愚痴を聞かされ
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お着換えに過去最大の抵抗で入園式はうち待ちでした
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今わかる子育て奮闘真っ最中 あの日々それが幸せだったと
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このやまい「一生つきあう」決めた夜 つきあうんだったらキミがよかった
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「もう来るなよ」最後の言葉忘れたい 消しゴム使って消せたらいいのに
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顔を上げ天を仰いで目を閉じて 果てなき空のふところ触る
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デデポッポ ユーモラスかな 山鳩の鳴き声真似て急登を行く
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あの人と話すといつも肩見てる目が合ったら石になるから
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スイカに塩をかけて食べるように真逆だけれど合う私たち
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言葉のキャッチボールに失敗しあの日のボールは見つからないまま
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血深泥に憎しみあって死をかわす犬といぬのどちらに賭けたい?
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急かされてタイマーを止め火を止めぬことはよくある応用すべし
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チェンソーで月をふたつに裂くように憂いも恐怖も食べてよヒーロー
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冬物の上着洗って良いのやら5月陽気の桜散る頃
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浮かんでは床を疾駆す綿埃追えば追うほど遥か彼方に
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