食い過ぎた新幹線の内壁がトンネル入りべこんと凹む
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東北へ行く車窓から眺める紅葉もみじ トンネル越えて一面の白
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なんちゃって進学校にありがちな時代錯誤の古い詰め襟
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UFOと一平ちゃんとペヤングを混ぜて食ったらまずいなんでだ
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その笑い方も髪をかきあげる仕草も変わってなくてなにより
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『永訣の朝』をすすめたあのひとはどんな景色を見ているのでしょう
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コンビニで無いもの探しする君と過ごす放課後 欲しいのは今
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寝るなよと怒鳴る先生今日だけは早く寝ろって修学旅行
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「おはよう」とVtuberが呟いた 俺のいいねは「生きててえらい」
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唐突に「きみって嘘をつかないね」言う友の親離婚していた
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あまりにも巨大な非常口があってそこから出る気が失せてしまった
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前歩く先輩見つけ念入りに髪整えて素っ気ない「おす」
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馴染めないシュプレヒコール聞きながら自分の居場所さがす日比谷で
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学祭の喧騒けんそう遠い教室でガリ版を刷る赤き青春
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校庭に白線を引くアレの粉 火照る体でさわれ最高
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偏差値で選んだだけの男子校卒業ののち共学化した
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多目的公園としてよみがえる海辺の故郷こきょうひとりで歩く
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「死にたいだなんていうなよ」って正面から言えなかったから ちょっと一休み ちょっと一休み
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海と猫 夕陽と月と パフェ・ケーキ 話題作りよ フォルダに溜まる
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若駒の尾に夢を乗せ 流星群 ターフはそのとき星空になる
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苦しみが文学を産むのは分かる だけど私はぬいぐるみを抱く
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紙袋に入れて密輸する漫画 隣の席の君にはバラす
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沈むの残光しかと受け止めて瞳に映るは炎の雲
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セックスの前中後を匂わせるうたに威嚇のいいねを灯す
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アパートも呑み屋も本屋もなにもかも たちまち夢の国です あなた
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二人だと暑すぎるこの掛け布団 溶鉱炉と化しどろりとひとつ
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遊佐未森 サブスクにあるし聴けるけど 言わないでおく CD貸すね
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青い空、コーラと何か甘いもの 結局のところこれだけでいい
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あどけない雪のひとひらひとひらが結ばれ冬の編み図はすすむ
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夕焼けと夜の抱擁みとどけて一番星はつよくなりゆく
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