幻想を見すぎて逆に現実を見つめ返せば新鮮すぎて
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昼寝から起きた時には夕方にこうして季節は変わっていくわ
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そうね今好きか嫌いか聞かれたら夕暮れだから好きと答える
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美容院シャンプー台に寝かされて微睡む時よ気持ちよきかな
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あわよくば悪いやつだと見せたくてミルクを入れずコーヒーを飲む
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ギロチンで切り落とすのは嘘ばかり紡ぐ左手の人差し指
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何を釣る黒い尾の先窓べりで猫の瞳の映すは銀河
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星よ星僕らを照らせ午前二時むくんだ指で微分係数
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亡き祖父のカセットデッキONしたら中島みゆきがファイトを唄う
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意地悪をしていないのに意地悪と言う意地悪に疲れてもきて
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「モウスグオフロガワキマス」に「はーい」と応える僕はB型男子
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夜行バス乗って東京ゆくついでサービスエリアによって軽食
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不器用な心の姿を写せたら言ってくれるか ごめんと真摯に
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さくら花 どこに散り行く その行方ゆくえ  もてあそばれる 心のようだ
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気づいたら「国民」にされていたこと 割られて赤く散る西瓜の身
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挨拶は一番大事なことらしい隣の家族は挨拶しない
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好きな子が嫌いな奴と付き合った明日仕事を退職しよう
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叩かれて押し付けられても耐え忍ぶ僕の机に賞をあげたい
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夜のバス窓に耳たぶ押し付けて映る横顔噛まれる予感
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薬漬けの私の肝臓は苦いでしょうけどそれでもよければ
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いろはすは何味が好きなど話し 気付くあなたの手首の傷に
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海馬など無ければいいよ忘れたい忘れられない僕 水瓶座
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散ってゆく 様をきれい、と思うとき 僕の心はひどくつめたい
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花びらが焼けた肌みたく剥がれてく 白く輝く初夏が覗く
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私なら逃げてる自分に気づけない 「逃げちゃダメだ」の彼は強いな
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ドロップの 白を好んで舐めていた 君のほんとうに好きな色は?
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教室に 小さく咲いた その星に 僕は八つに裂かれてしまう
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春蝶がヒラヒラヒラと花と花飛び跳ねる音うらら風の背
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桟橋をあとにボートに飛び移る真っ白いスニーカーの輪郭
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夜桜の下で集った青色のライトアップはぼくだけのもの
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