霧立ちて比良山おろし寒からし堅田に落つるかりがねの声
4
通勤のためだけ空を飛べる魔法便利のようないらないような
12
「母さんもやってみない?」と誘う息子キミ 今週土曜日ゴルフデビューす
6
むかしした可愛い悪事あくじを並べては それのばつだと背負って歩く
7
カーテンをサッと開けては目を見張る 窓ガラスに初結露を見る
10
「クソババア」いつか言われる時がくる クソではないがババアではある
10
賑やかな 冬デザインの ニベア缶 〝 そういう時期か 〟と 移ろいを知る
6
踏みしめた 落ち葉が囁く 「おかえり」に 心色づく 秋の夕暮れ
10
なんて事!いつの間にやらダンナより 体重重い四十路の私
6
はてしなく広いとかつて思ってたテーマパークが案外狭い
7
触れたくて仕方なかったその肌は 猛毒を持ち こころ惑わす
5
コーヒーを淹れる手元と横顔を思い出すたび叫びたくなる
4
わかってる 愛ではなくて執着と それでもあなたを忘れられない
9
死にたくてどこにもいけない日の夜にUber使って食べる夕食
4
招き猫働けど働けどただ人を呼び寄せるだけの術
7
秋来ぬと目にもさやかに見える頃もうすぐ故郷は鮭に沸く頃
7
うちの猫らも保護猫でした べつべつに 半年違いで家に来ました
7
私から彼を奪っていく猫は大抵黒ではなくて灰色
9
お伊勢茶を大事に置いてて期限切れ コンビニ塩豆大福を食む
7
こねこの時もらわれてった保護猫よ いまも元気に暮らしているか
6
野良猫に 亡き愛猫の名を呼べば 涙がポロリ  ごめんねお行き
12
きみは喜ばないだろうけど、今ここで生きててくれてありがとう
4
うつくしいお前を祝うためだけにあらゆる炎が風に吹かれる
7
座椅子の上 アンモニャイトがふたつ並ぶ 陽当たりも良く わが猫らスヤスヤ
7
ため息でしぼんでしまった歌心うたごころしかったかもと風を入れつつ
15
蛇口から出る水ひやり心地良く 合いの服など出すも楽し
11
薄衣うすぎぬのような秋雲 たおやかな空 待ち焦がれた季節に浸る
12
秋晴れがもったいないなと思いつつ ダルくねむたく うとうとしたく
12
夢でしか 逢えない人に 夢で逢い なのに悲しい 夢物語
10
微睡まどろみをひんやり撫でる風ありて このころだけの「軽井沢かも」
9