百恵ちゃん北風に誘われ旅に切符を捨てて奥の細道
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カレンダー2月のシフト書き込んだ しろ仕事 くろ休み くろの負け
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息のの 白く曇らすまど越しに 雨にそぼてし金柑きんかんの見ゆ
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冷え切った星の終わりの質量を告げる幾星霜の明滅
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あたたかい光にうすく延ばされた冬のとばりのむこうを思う
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あの山を越えてくように叶うなら貴方を殺してしまいたかった
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曇りの日の散歩もたまにはいいかもね 手帳にハンカチ 財布にスマホ(あ、鍵とエコバッグ)
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起き抜けから 何故か鼻歌が水戸黄門 夢でも見たか?どうした私
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毎日が カレーなんて 飽きちゃうわ しかもそれが レトルトなんて
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君という 人生ゲームの 箱のなか きっと私は「モブZ」かな
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雨後に 目の前見える あの虹は かなり綺麗で 心揺さぶる
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朝どきに 少し降りゆく 雪の粒  冬の訪れ 少し感じる
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すんなりと結ばぬ像を追いかけてこのトレイルを信じていいか
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その先へ どんどん続く あの線路 どこまでなのか 少し気になる
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明滅し 猛る世界に 微睡んで 「ほとぼり冷めた 頃に起こして。」
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しまわれた優しさや毒がほんのりと滲んで短歌うたはその人となる
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何年も会わぬ知人の夢を見た 元気だろうかやや胸騒ぎ
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死にたいだとか愛してるだとか 結局最後は電子の海の藻屑
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訪れる 一季一期に 油断して 君は笑ってくれなくなった
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流れ出す 余分なものが 汗ととも カラカラヘロりの私も好き 
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極寒の 朝にピチュウと 雀らは やや控えめに 生存知らす / マイナス21
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青年も優しき人も年寄りも理不尽を知る個々の場所にて
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知らない街の図書館で もし君と出逢えたなら
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寒椿昨日も今日も雨多し皆頭下げ艶やかに咲く
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白い月のそばをゆっくり遠ざかる飛行機を見る人の悲しさ
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冬の日の午後の日向ひなたの果ての無さ観音堂の鐘鳴り渡る
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やっぱりだ、前回と同じ時間だ。乱暴運転気分悪い。
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小鳥きて赤い実たべた庭さびし まんりょう縮む氷雨の降る日
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笑えないお笑いにわらう夫と居て温いぬく部屋には寒い沈黙
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詠み終えて 冷たき指を お布団の中でぬくめる大寒の朝
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