要求を分かってやれぬもどかしさ 老犬何かを訴え続ける
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夫の指す木の根に寄りてひそと咲くヒトリシズカは秘め事抱くか
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風通る木下の闇にひっそりとヒトリシズカの葉のつややかさ
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蝶さそふ黄檗きはだあいらし金魚草きんぎょそう 触れては知らめ 雨の訪れ
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あの月は踏み切り前に佇んでわたしの帰りを待っているのです
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プレゼント受け取るための空間をカバンに詰めていく誕生日
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母の社交 ヘルパーさんにケアマネさん あとはお医者に 配達のお兄ちゃん
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とりあえずおしゃれ着洗いはしたけれど 色々出遅れ パン屋は行けぬか
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口癖がミニマリストな友人のアナログ時計が光を映す
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出来の悪い 夢みたいだなと そう思う こんな奇跡が 起こるだなんて
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疎開せし お子へのふみは母御の愛溢るる文字で綴られて居り /原爆資料館
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月を見る あなたのことを思い出す  美しい夜 美しい人
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失った 感情ばかり 数えては 投げ捨ててまた 拾っては投げ
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どれもみな 十字にかがやく 星のに 神しかいない たましいの世界
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来客でねこの背中がまるくなる 保険屋さんだ ねこ母と寝てよう
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理由なくキスしてもいい関係をこの朝までは信じてこれた
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「やらないといけない事」ならいくらでも「やりたい事を」の占いに困る
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ごうごうと叫んでることこれが雨 雨で見えずと君は言うけど
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応援す飛んでいく鳥のあとから少し遅れて飛んでいく鳥
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嘘にもう慣れてしまったこのこころリサイクルせず捨ててしまって
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眠れない夜にはそっと引き寄せるあたたかミルクやさしい布団
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外にでてはじめてわかる晴天の天気うれしむ歩き出す午後
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奥さんは忙しいのと聞く店主 3回目には聞かなくなった
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書き溜めたわたしの歌が寄り添ってくれる一緒に泣いてくれてる
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本日の左脳を抉った告白は ピースオブケイクって言っとくよ
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知らぬ間に天気予報が変わってて 曇りの午前は散歩出来そう
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手に入れたのは幸福な思い出でわたしはなにも失ってない
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気の緩み猫背になりてふと思う ごめんね猫よ君等に罪無し
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アレクサが今日は雨だと云ってるが 洗濯物干す日が差すベランダ
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梅雨の入 犬の散歩 お預けで 行き交うボール ストレス解消
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