前の席隣に座るふたりとも耳が赤くて甘酸っぱいね
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君の背は対角線の端の席遠いよ次の席替えこそは
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紙ふぶき散りばめたようきんとんの萌ゆる色香をあなたのくちに
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夏空に雲が流れて 好きだったタルトの名前が思い出せない
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血を分けし少女は波と戯れて 潮の匂いのなつかしき浜
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とりあえず海へ行こうよ まだ君が私のことを嫌いでいいから
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列車遅延 とけたバターのような朝きみに借りてた本を読んでる
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十九歳一年早くウィスキー追う父の影優しさ忘れて
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乾杯と打ったガラスが砕けたら琥珀の銀河涙の代わりに
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別れたい言いづらいんでしょわかるわよ 私の心は高解像度
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空の安酒を置き去りにする1Kの荒廃は雄弁に無言
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空中に指を広げて差し出して誰もいないと確かめてみた
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輝きて緑充ちたる地の上に永久に異物としてあれ人よ
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真夜中に「でも」と「だって」を繰り返し 嫌でも気づく 君が好きだと
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負けず嫌いわかっていても譲れない曲げられなくて折られてばかり
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丸裸になって雨を浴びられる 日本の露店風呂の特権
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空気入れ デコボコわかる自転車の ようにあなたの心を知りたい
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空に住む獣が吠えるお昼すぎ 夢から私を引き戻す雨
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いつの日か 二上山に皇子みこ訪ねむ もはや叶わず 車椅子の身
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救世観音 千年の秘宝目の当たり 太子を偲ぶ春の御開帳
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鳰の海 湖畔に眠る皇子みこ偲ぶ あの日の戦白露のごと
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大池の水面に溶け込む薬師二塔 古きと新き時を超えて
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飲み会に美人が遅れて来た時のどよめき浴びる 発売
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「暑い夏の夜」と「冬の早朝」が良いって言おうとしたけど、言ってた。清少納言が
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今日の風白く儚い目の前の君を天使に変えそうなほど
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ウエストを回り続けるファスナーの位置が正午をお知らせします
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来世ではきれいな音の笛になるいくつも胸に穴があるから
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まだマシな方のオタクと自負してるオタクばかりで蒸れる店内
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白銀のジェットに乗って 気まぐれな奇跡に酔わせてくれる彼ら
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なみなみの砂に磁石を突っ込んでこぼれおちてく名づけられぬ葉
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