シアターの幕に向かってつまらぬと愚痴ったところで銭は還らず
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野良の子ら集いし木陰陽が差してそ置く傘の慈しみかな
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帰り道 長靴可愛い一年生 晴れ空に大き傘持て余し /朝は土砂降りだったもんね
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おや、蝉か 私の話に耳貸さず貴方は二寸の虫に構った
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雨降って地固まるとは言うなれど泥に流るる我が生涯かな
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大切なものだった事は気づかない 首振り人形 君が壊したよ
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この世では記号と化しゆく幸福に 歯車となって 回す摩尼車
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ネギ塩マヨ 意外と美味なるたこ焼きなり 夏至の晴れた空 見上げ相応ふさわ
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ガメラ対ギャオスも旧作観てよろし昭和も遠くなりにけるかな
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思ひ消つ打眺めいる九天に落つ銀河の雨 今は祈らむ
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小さき手 蛍を囲い見せており 手のなか静かに光の鼓動
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風になり花を揺らせば花になり   川を揺らせば水になりたり
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オンライン講座の講師禅寺の 推しの住職人生語る
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たこ焼き屋「ネギ大丈夫です」と見栄張りて 山盛りサービス ちょっと後悔シマッタ( 比較的苦手‥)
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紫陽花に六月の陽と風注ぎたる 今日のよき日を誰と話さん
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マイナンバー「まだいいですよ〜」と言う病院「お持ちですか?」と都度聞く薬局
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幼子もいるのに親を刺すあたり 間抜けな蚊だと手を振り下ろす
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耳に口寄せて内緒の話する 五歳は女子の顔をしており/近所の子
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梅雨入りを 待つや待たずや 空見上げ 今日は洗濯 出来るとニヤリ/ 関西梅雨入りしました
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フリチンで縁側ひとり人生に慙悔ばかり積乱雲見て
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国会の議事堂一体誰のためそんなん知らんと先生方言ひ
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ひつまぶしややこしいねんひまつぶしもしかするなら既出かな
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今詠める 景色に君が いないから あの頃のこと ばかり詠んでる
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吾と目が合いしたり顔するカラス 栗割らすならまず腹を割れ
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今週は 顔見れなくて寂しいよ 姿浮かべてまぶたを閉じる
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雨止みて吹きる風は南から風鈴水琴揺らし遅い梅雨入り
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幼かりし子の幻が前を行く懐かしき道を今は独りで
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生きていりゃ 路が離れることもある また交わる日 だけを信じて / 轟さん
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薄れゆく 意識と葛藤するものの 段々と遠くなる雨音
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曇り空 降りそうだねと君が言う 勇気が出ない 折り畳み傘
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