工場の煙がもくもくその下で夜間高生が涙を燃やす \  高度経済成長のころ
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期日前できるのならば入場券持って出ようか権利を行使
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午前四時鳥の声で目が覚める地域集会ミーティングかな?
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私を赦してくれるひとばかりなのに私は私をころして
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高二のバカにするなと夫に言う クイズ番組全問正解
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どうしても生きていたくはないんです 誰も聞いてはくれないけれど
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輝きでぼやけるほどの輪郭を 直視できない過去の太陽
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幾度となく捨てても居りもう殺すしかないではないか、蟻ども
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『Unlimited』を歌ったんだって 私は『心の瞳』歌うよ
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ごめんなさいもありがとうも消え入るスコールのよる落涙すらも
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俺たちに見えないほどの宇宙ではSFバトルも現実なのか
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インナーチャイルドにはまだ逢えないきっと殴って殺してしまうから
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体力がなく座部に風呂敷を広げ喰むおにぎり野良猫の如
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真夜中が散らすバイクの騒音を追うサイレンの響きや虚し/今現在
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ストロベリームーンの一日前に見た あの月 ほぼほぼ真ん丸お月様
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あの月が消えてしまうと思う前扉を叩く入口にいた
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今日はまだ 何にも出来ていないから 虚無を睨んで 眠気と戦う
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utakataうたかたの マイページ見て 思い出す 日記のように 情景じょうけい浮かぶ
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リーマスにアジルサルタン・ビプレッソ・ニトラゼパムで床につく僕/おやすみなさい
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コスメでも おしゃれな服でも家具でもない 心を満たす なにかが欲しい
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一日に十しか詠めぬこの仕組み卑しノートに駄歌が埋まる
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砕かれてすぐに止まらぬ涙とて育ちの合図 一番病の子
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夕立ちに軒を探して愚痴る僕同じように猫も鳴いて居る
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プレゼンのホワイトボード叩き割るそんな妄想屋上に居て
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季語入れる工夫すらなき吾が駄歌は詠めど読めども時間の無駄よ
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「わかるよ」と 笑顔で相槌打ちながら 「だから貴方は」心で呟く
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何色も 染まらないぞと思いつつ 何度も自分に ラベルを貼ってる
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反抗と親離れとは似て非なるお前とてめぇぐらいの格差
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「最速で」そんな貴方に引かれる手 ぎゅっと離さぬ夢への旅路
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不実だとなんて言われて涙したあの出来事はプラスになったの
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