生きている価値など一つもないくせに今日とて蠢く私のこころ
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寄越される愛とも呼べぬその「愛」を惨めな俺はただ受け入れる
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大学をフケてプリンを食す昼罪悪感は苦味か甘味か
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一刻も早くひとこと「会いたい」と言ってくれさえすれば私は
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ゆっくりと流れる時間が見えそうなほど退屈な物理の授業
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大会で公欠してる窓際の彼の机を日差しが照らす
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何年か前に流行ったラブソング聞き彼は今元気かなって
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夢の中 死んだ親父が出てきやがって 受け止められぬほどの喜び
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助手席の口数少ない父親のノラ・ジョーンズに揺れる右足
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頬のあざ 親父がタバコを押っ付けた 死後四十年 ようやく言える(バカヤロウ!)
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歯医者がね プロテクターを勧めるよ 流行ってるよお前も買えよ
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黒電話 昭和平成令和越え 今日も元気にジリジリと鳴る
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オール明け もぐり込む布団の冷たさに つまさき重ね「ひとり」を味わう
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定退で有休二カ月消化して 労働意欲が消え失せにけり
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生きている ただそれだけで幸せで あまりの幸にむせて死にそう(ゲホッ)
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ちょっとだけ速度感覚速いので 車に乗るたび前にイライラ
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幸せは求めて手にするものでなく 幸せなんだと気づくことなり
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さよならも言えず迎えた朝五時は ひとりぼっちの想い一つだけ
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右行けば 落とし穴あり 左行け 壁にぶつかり 真っ直ぐ進め
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のほほんと 生きてるだけで いいという 話にならぬ 現実世界
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することは 愚かなことを やめるだけ 簡単なこと 難しいこと
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この道に 抜け道はなし 行きどまり 戻る以外に 出口は見えぬ
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蹴躓く 速けりゃ早い 方がいい 傷が大きく ならないうちに
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平坦な 下り坂ほど 快適で 加速度付けば 知らず知らずに
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欲望に 穢れた心 曝け出す 裁きの座では 磔の刑
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虚しきは 欲に塗れた 魂が 罪を愛して 悶え苦しむ
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赤き実を 探してそこに 佇めば 命は歌う 讃美の歌を
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悲しみを 食らいて人は 苦くなり 熟して柿は 甘くなりけり
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「里山」で人が暮らしていたころは そんな言葉はなかったらしい
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年取ると許容範囲が狭くなり 嫌いなものに囲まれ暮らす
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