昼休み会社のチャリでCoCo壱へ 歩きでかえり夕方気づく
7
死にたいと自分の墓穴掘る奴の 墓穴に落ちみな死んでゆく
3
煮詰まって書けなくなった真夜中に ゴソゴソ探す昔の筆箱
6
もの書きの仕事に就いてキー叩く 筆記用具は要らなくなった
7
お父さん、前に何度も言ったよね? ため息が出る帰省の初日
16
カチカチと得意な顔で芯を出し ポキポキ折って入れる替芯
4
筆箱の鉛筆全部芯が折れ 隣のヤツのシャーペンを見る
4
ガリガリと鉛筆削りで削られて みじかくなって筆箱のすみ
4
人知れぬ痛み悲しみ誰も持ち 短歌うたで知らさる分かつ喜び
18
ところてん また食べたいな。 キミの店 親父さんとの 夏の思い出
13
吉野家のタマネギ少ない言う母に ねぎだくといふ単語教える
22
五月でも立派な夏と言いたげに 子の柔肌を狙う蚊がおり
18
公園でTikTokか踊りたる 女子高生を眩しく見遣る
18
ブランコを勢いよく漕ぎ前後まえうしろ あの頃は何故か飛べる気がして
11
畳の目 擦れたレースがほんのり揺れる 猫の前足ふんわり伸びる
12
死神の君にキスして欲しいのに此の世の神と手を離せない
5
連なった鳥居をくぐるこの先は誰も知らない空のある街
14
春過ぎて夏来にけらしカメムシと顔を合わせる日が増えていく
14
パン屋のレジ 幼い姉妹のサングラス 紫外線よけ??意識高いなぁ(笑)
9
検査用おといれガサガサ採ってたら ちま猫ちゃんが横来てガン見(ちま猫ちゃんのおといれ‥)
8
夢のなか 小学校の時の家 まだ住んでいる 引っ越し手前で
10
ほんとうをよそおうことがゆるされることばに預けられたほんとう
6
すれちがうたびにいくらかずれてゆくふたりの位置を空はみている
6
水滴が肌に描いた鱗肌 このまま竜に為れたらいいな
12
ハンカチの染みをみつめるその位置が記憶している物語たち
5
生活の リズム崩れて目の下に   夜の名残りの 影うっすらと
12
欲しいのよ思わず漏れた吐息さえシーツのシワも熱いカラダも
3
風吹けば卯の花垣に波立ちて零るる露の玉川の里
8
甘え方教えて欲しい貴方には胸焼けしてもいいほど甘く
4
描きかけの五月の街の水彩画 風の色だけ選べずにいる
13