念ずれば叶うのならばわたくしの祈ったことが事実となろう
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病室の窓は額縁 青と白 夏は褪せゆき秋は染めゆく
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しっかりとした眠りから覚めたならなんてクリアなクリアな世界
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食事するその一口目、口内がキューッとしまる これが「おいしい」
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しずやかな所作で私の手をとってジアゼパムとはやさしいお方
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空のあお海のあをとが響きあい青い花だけ知ってる秘密
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「ギョロついていないでしょうか、私の目」透明なまま世界を見たい
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愛の名の下に無理強いしないのが薄情ならば薄情でいい
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悔恨に胸みつるとき ひとさしの 煙草に灼けし 哀したましい
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きゅうりに味噌をつけて 一杯やる これは親父の受け売りだぁ
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オウムガイ月夜の海に浮かびで歌いかけるよ浜の二人に
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夏目漱石の「こころ」がだいすきな奴らばっかり集まる部室
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これだから 「メンズノンノ」という文字は。 「杉」の右側じゃないんだから。
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幸せを覚え己に釘を刺す 「夢になったらいけねぇから」と
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名前を書いては消してが減った分 徒らに想う夜が増えた
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夕寝覚め 通知のないスマホは言う 「君がなくとも世界は回る」
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あの人はあの角曲がってくることがわかる10分早起きの朝
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懐古してほっこりするにはあまりにも僕の青春グロテスクだな
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【きみがもし【来世でコインロッカーや【ポカリになつても【見つけてやるから【
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フロントの霜にスキと書いて消しキライキライと書いてまた消し
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イブの夜のホテルのロビーはサンゴ礁恋する魚が群れて泳いで
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みんなからひかりをもらうしあわせなわたしもだれか だれかのひかり
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こだまする 百年を経て タゴールの春の歓喜よろこび 私の真夏
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句も歌も私の中に降ってきてひとつひとつを書架に飾るの
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昨晩の夢に出てきた真赤なるアジサイを、ねぇ、いただけますか。
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伊右衛門のペットボトルの底にある「おおきに」の文字 キャップを開けた
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昨晩のコードブルーの方の部屋なんで空っぽ 黙礼ひとつ
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三週間ぶりに飲んだコーヒーの香りの強さ 八月二十日
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六月に亡くした臓器 そのばしょにきっとなにかがやどっているの
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心臓も脳も手足も動いてて「生きる」を思う八月の我
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