母さんは銀行じゃない質じゃない小遣いあげるし飯も出すけど
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何故そこに?わたしの跡があるのでしょう。 いいえおそらく真っ黒歴史 
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固定費を見直す春はすぐそこに 補償が切れるあいみつ取ろう
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こんにちははじめましての挨拶に 探りを入れる 探られている
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冬日和 すりガラス越しにのれんの影を追い蕎麦を待つ午後二時
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蛸足のように理由が絡みつく ごめんやっぱり飲みに行けない
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星々に見守られつつ眠る夜もあの舌打ちが忘れられない
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カラカラと洗濯物が踊ってる 脱水の音を子が聴いて言い
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来ぬひとを待つここちして石版モノリスと上下左右を無意味に睨む
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買ってれば 取れてた競馬 買えざるに 我が身の不調 恨む二月に
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あかぎれで右の親指使えラジオスイッチいれられぬと言う母に言う左でしてと
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君の顔に爪をたてたい傷だらけでも愛してる私だけ見て
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嫌韓の祖母 韓国の血を持つ私 全てはおなじ赤なのに
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何処にいた知らぬあいだに追い越して先については走り去る謎
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陰気な高架下 汚い鳩 私みたいな野郎が住むところ
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じじじと頭歯車まわり出す二時は眩しい非明晰光
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強で三分、弱十七分三十秒予熱で三十分
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隣のばあちゃんは何処どごさ行ったんだべなここ暫らく姿を見ない
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おしょうゆをそっと渡してくれる様なおひとはどこサヘキサエン酸
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おしゃべりも別れ話も残業も全てが星になる摩天楼から
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不発弾多き脳内 爆発と成れぬ芸術たちの墓原
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少しだけ愛してるっていうことよ 血を流しても嫌いになれない
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席替えのくじ引いたあと動き出す机の波に君を探した
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この歌を詠むたび生まれ変われると知って、信じているから僕は
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世界史で、バビロン捕囚ほしゅうを学びしが……ネブカドネザル……ねぶかど寝ざる……
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最大にしくじったこと鼻の下前歯が無いと髭が剃れない
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一人でも生きてけるけど手を取って歩きたいんだ 認めてくれよ
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体温の触れあう距離にいてほしいそんな我が儘言えるわけなく
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失語症の父が何度も初孫のフォトフレーム手に黙って眺む
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ケータイをチャカポコ鳴らし帰り道国道はほら夕陽へ続く
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