夏空の墓へ挨拶 そちらへ行ったあのこは怖がりだから
4
獰猛なネオンの下で夏思う人魚と僕は海をさがして
4
断捨離で 捨てられないのは 落書きと 忘れたかった 記憶の貴方
8
二人だけ肩を並べた秘密の芽きっといつかは花も枯れるわ
3
なぜ誰も見ることのない報告書書かねばならぬ重くなるペン
9
終わりなき暑さが遂に十勝まで 熱中症にかかる牛たち
13
清夏だけ副業許可を得た双葉パフェグラスからパスタへ移住
4
「現場ではまこと格差は大なり」と教師の友はジェラート食べつつ
19
背骨をなぞる左手の煙草の匂いまでおなじで泣きたくなる
5
兄を抱き墓前へ立ちて両親へ旅立たせんと義姉の悲しみ
25
香を焚きうからつどいて経を受け兄と別れの七七忌しちしちにちき
25
左腕メメント・モリの文刻む美容師の人所作美しく
40
メロンなど 思いのほかに 簡単に ごろごろできる 猛暑に感謝
4
少年期ピアノを弾いてた事もある今では労働しおれたわが指
5
少年が 排水溝の 蓋を開け 何かを拾う ことに困りて
6
メロン狩暑さも忘れ品定め目移りやまぬ欲の深さよ
26
区役所のエアコン強く汗がひく風邪をひいたら行政のせい
6
一枚の水彩画なり濃淡の緑のにじむ曇りガラスは
27
理不尽を無心に嘆く夕凪で君の視線に荒ぶる海を
7
ちくしょうめ犬猫ラッコもふりたい生きてるだけで可愛い畜生
5
何十年ぶりか従兄弟いとこと長電話 互い「ちゃん」呼び 訛りも嬉し
23
献立の裏紙に書いた短歌にも魂宿る書き続ければ
12
林檎柄サーフボードと那覇に来たインターネットも海と呼ぶので
4
プールなく 涼みもなきし 我が母校 今も悔いたる あの校通いを
8
生きるたびに季節が嫌いになっていく 風鈴の音が消えた街角
13
久方の 馴染み店での 君の笑み 再婚しました サプライズ有り
21
夏祭り 準備そなえ始める 月曜日 宗派違いの 我が身を惜しむ
9
田水張るカエルを探し練り歩く  水面と合わせ 二羽のシラサギ
8
礼文島 友の便りの 写メを見る 海岸線は 秋の趣
20
夏の日は いくらカラリと していても センチメンタル 忍ばせている
16