十八歳世界革命夢見てた熱狂自体は罪ではなかった
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私の恋はいつまでも白線の向こう他人事みたいに眺め
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殴られて蹴られ踏まれて地を這ってそれでも僕は君が好きだよ
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明日にはと繰り返しつついる内にすでに葉ざくら惜しむ間もなし
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火にかけた鍋を忘れて數時間靜かな鍋と青ざめるわれ
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パスタ茹で油にんにく唐辛子野菜にハーブコンソメと肉
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瓦斯ガスだいのやかんラヂオに言ひ返しニュースキャスターぐつと詰まりぬ
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「帰るの?」と 何度も僕の後ろ髪を 引っ張る君を 抱いて寝る夜
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五月の日縞たぬき出で戯れり瀬を白くして流る多摩川
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子供らのバーベキューで気を使う早き流れの多摩川の岸
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改めて連ねたわが歌見返せば 何にに酔うたか恥ずべき歌なり
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雨風をしのぐ住處すみかにたべものと水ガス電氣ふとんまである
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きびしさを言ひわけにして理不盡をへよ堪へよと甘ゆるあなた
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悲しみを 語る友の笑 優しくて 五月の空に 咲くハナミズキ
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明日から毎日やらうさう決めた昨日のわれは今日はおやすみ
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生わらび 初めましてで 買ってみた 重曹ないな 買いに行かなきゃ
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ちょっとした 旅行気分で 道の駅 財布の紐も 頬も緩んで
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新しい謎を求めに行くように館へ向かう隘路二人で
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「あとひとり」殺せと叫ぶ満員の聖地に満ち満ちていくよ殺意
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ご自愛とはなんですか私習わなかったのです愛など自我など
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グランデと言うのが少し照れくさく いちばんデカいソイラテひとつ
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どこ行っとったったんですかと聞いて通じないことをまたも確認する
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全てがどうでもよくなり枕に蝿が落ちてくるあたりからの人生は長い
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無得点またも最下位対策が実らず悔やむ立ち上がりあゝ
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はたらくは傍をば樂にすることゝのたまふ人はいつ働くや
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今週は 金週だとは 聞いてたが メッキ程度の 鈍い輝き
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朝一番テーブルの上にはバラの花 静かな善き日 古希を迎える
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水あやすこゑは聞こえずたゞ水の上にまめなる川守かはもりの飛ぶ
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死んだのにまだ気付けずに照明のつかないトイレで戸惑っている
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青い空透明な風吹き抜けて太陽の熱さましていった
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