握る手に熱を残して見送った最後の花火に今年もなったな
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「一生」を願う言葉をこの耳で 聞く日が来たらどんな心地か
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あ 笑ってる 赤い眼だけの大顔でバスはするりと消えてった
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探してる亡吾子に会えない蓮池に飽かず飛び交うオニヤンマとも
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ポケットの一円玉を紳士服売り場の服にそっと入れておく
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キッチンにいる君は歓声と花火の音が楽しいと言う
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イヤホンは気を遣って置いてきた 君は平気でノイズキャンセリング
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植え込みの間に蜘蛛の巣張られおり東京タワーが横たわっている
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「諦める」自分の取るべき行動を明らかにするそれが「あきらめ」
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蒸し暑い夜の田んぼの匂い嗅ぎ昔の祭りの記憶が還る
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エアコンのスイッチとめて今日だけは 原爆で逝くたましい思う
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かりにだに来ずや鶉はなかねども夏こそ繁れ深草の里
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洗い物洗濯物干しやっぱりね ひとり時間は家事から始まる
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そこそこに かぜがふくのよ レイソル市 遠雷 太鼓に 遠はなび
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映画行き人の多さに唖然あぜんとす さあ人々が夢の世界へ
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めずらしく父子おやこふたりで出かけてく ひとり時間だ何からしよか
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赤い糸が解けないと信じていたのは私だけだったみたい
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水でなく風に流して、いつかまたあなたの髪を揺らしに行くよ
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市議選の さいごのおねがい 選挙カー ぼんおどり練習 負けて退散 \レイソル市あした投票日
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本当ならもっとかろくやわらかく歩いていたんだろうね、あなた
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ここからは幕は閉じたり観る人も観られる人もそれぞれに行く
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明けていく昨日を葬り薄赤い彼は誰時かわたれどきをあなたと望む
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行く先は違うけれどまた交われる気がする 山手線の内回り・外回りで
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まよなかに あいすぬんで 冷凍庫 すきまできてて みんな解凍
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『何色が強く見える?』って占い広告みたいに手首の赤、てらてらと
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猛暑なり 七十八年前も 三十八度 十日間続く 高女等の死よ
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積ん読はいつか駆られたその時のために積むから、信じていいよ
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まだ知らぬ書架へ届くか第一歩 わが眼差しの曇りを認む
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POPでもROCKでもない魂が夏の渋谷を彷徨っている
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水道からお湯がでてるよ大変だ ガスつけてないのに異常気象め
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