知覚過敏様がお去りになられまし 朝のカフェオレ美味しく飲める
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何か見て立ちつくしたり真っ直ぐを無視して歩く子らの自由さ
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地獄行きの切符を二枚買ったから明日は君に会いに行かなきゃ
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ビワの木は挿し木してから二十年 今年もたわわに大きな実を付け
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前向きに練習をするしかないと負け越しの首位攻防戦で
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休出も 役に立たざる 先月の 報酬見つめ 転職を決め
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連敗は反撃及ばず痛恨の失策あゝのサヨナラ負けに
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中尾翁 アクの強かる 豪傑は 初夏の日射しと ともに出立ちて
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他人が自分のなかで大きくなるのが怖くて線をひいている
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定年後再就職をする若さもうない介護もう逃げたくて
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田の畦あぜに集まり咲きしキンポウゲ 何処に咲きても陽光降り注ぎ
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爺さまはこわごわ歩くリハジムを テニスティームのロゴのシャツ着て
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日の光楓若葉に照り映えて木の下陰も闇なかりけり
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百七の誕生祝いろうそくを 吹き消す伯母の真面目な横顔
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原因と結果はいつも決まってる わかっちゃいると蟻に呟く
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ラベンダー 直線の茎 跳ねるよに 背伸び始める 空に向かいて
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いいことも良くないことも同じ数 毎日起きて私の一日
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カーテンを通して朝の気配あり 地球の自転今日も止まらず
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補聴器を片耳つけた母といて  聞こえぬ辛さを聞いてる辛さ
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父親も洒落者だったと俺を見る 十三回忌の法要の前
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今日もまた新書一冊を読みたれば一首に詠ひて記憶に残さむ
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黒猫じゃなきゃ良かったな 寂しさを埋める夜中に見失いそうで
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「同伴」て 言葉にいちいち傷ついて だけどそれしか 需要ないのだ
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遠い場所、君の眠りに良い夢を ひとりぼっちの夜に祈った
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生きていくただ人して生きていく それもまた難しくて夕暮れ
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明日は退院喜んで絵を下手くそも妹ヘラブレターに添える
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明けぬ夜 なんてないよと 言う人は 朝が嫌いな 人を知らない
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歌詞なんて わからないのに 聞いている 奮い立つため マキシマムザホルモン
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明るい子 空気の読める子 演じてる 惨めに布団を 握りしめてる
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音楽に 詳しくなくてもいいじゃない そう言い聞かせ聞く 音楽に泣く夜
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