友有りて我の放言𠮟りけり感謝こそすれ恨みなどなし
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好きになりまた初恋の汽車を待つのは春を待つ不倫ではない
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エレジーを嫌う作曲家でいたいALSの妻は作詞家
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夜遅く髪を洗って乾かして誰かのウィッグなる髪を拾う
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不眠夜に くるくる夢が 舞うようで スノードームに さす光さえ
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くぐもって壊れてでもきらきらしてる音楽 部屋の電気消す
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意味もなくプレゼントなどくれないで叱られつつもそっとバッグに
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路傍の石と言われし年日過ぎ去りて人生などは生死あるのみ
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暁天の冬に雲を見上げるとしみじみとした感慨漂う
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まずまずの点を取っても泣きし子に人生なんとかなると励まし
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厳冬の楽しみは夜いつも行く店に漂うおでんの香り
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蔦を張って伸びていく花になりたい昨今です
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留学を喜んでくれた君はまぁ半蔵門しか乗らないもんな
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孤独とは音を鳴らしてそれが止んでも次の音が鳴らないことかな
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厳しいと言いながらただ過ぎし日々胡蝶蘭の日すでにありける
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不安げで淡々とした音に身をかくし曇り空ながめて過ごす
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牛乳にはちみつを入れるその線の終着を見た、安心できた
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予想とは違う現実あった時せめて泣き言言うなよ友よ
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街角で君によく似た君を見る昔々に愛してたひと
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母の耳 ヒラメがタガメに 変わる夜 お膳の刺身 笑いに泳ぐ
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いい声で素っ気ないあなたの返事となりにいるのは女じゃないの
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ただ前に 下手でも繋ぐ羽根の軌道みち 死ぬまで続くわたしの鼓動
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雨粒も隣のあの子と居たくって 雪となりて積もりかたまる
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連絡帳一番上は君のまま今は誰かの彼女なのにね
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木道に這いつくばって目を凝らし毛氈苔モウセンゴケを見しはいつの日
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良く晴れてかすかな希望を映す空死にたくなる程素晴らしい空
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全日本 富士山見たら弥彦山 平気で登れよ お豆腐メンタル
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上を見て どこまで登れば届くのか 待ってろ雲上 地べたのあがき
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兄さんも 親御さんらも せんせいも みんな待ってる 帰っておいで
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風邪引きの赤子を置いて行くははよ そんなにカネとオトコが大事か
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