おぼろなりずいぶん昔に耳にせし届きし母の静かなる唄ごえ
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千代紙で祈りながらに鶴を折る 十本の指に思ひを込めて
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歌詠みて自然にふれて野の花を留まり愛でれば仕合せ覚ゆ
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寒くとも日向に出せばサボテンは次々咲いて四日もつづく
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そそくさと追い越してったあの車追いつくごとに思うすまなさ
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十分じゅっぷんの 亀山ろうそく 尽きるころ 祈りを終えて まずはゴミ出し
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さかさまに広がる世界蹴り上げて宣戦布告を届けに行こう
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寂しさを埋め合わせようと右往左往 しているうちに歳食って死ぬ
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めざめれば カスタードのあじ のこってて ゆめのてぃーたいむ あいてがふめい
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澄んだ夜空の星と惑星🪐と、こころも共に冬支度
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目に青葉など呟きつ何故寒いどうやら母は初夏にいるらし
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ゆっくりと赤ちゃんボーロをひとつずつ お口に運ぶ可愛らしさよ
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午前二時泣いた赤子を抱き上げて 一人窓見る今日は満月
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「ありがとうございました」と店員に先に言うのがマイブームです
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無差別爆撃  南京重慶 ゲルニカ 東京 ドレスデン 広島長崎 ハノイハイフォン ガザ 殺人の歴史
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会計でまごまごしてる老爺と父を重ねて目尻が滲む
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真夜中に なにやらハッスル わが猫たち 日付変わって トリックオアトリートか?
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それぞれに生きた人らを「ご先祖」とまとめてしまう暴力がある
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ハゲの句をたくさん採ってハゲ選者見せたいらしい度量の広さ
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あなたの名 居もしないのに呼んでみる果てしなく広く寂しい部屋で
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「頼んでもないのに産まれるところから始まったんだし。こんなもんだろ。」
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公房の戯曲にあったあの鞄、あれを拾って家に置く親
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愛しさも切なさなどもいつの間に土に埋もれて発芽もせずに
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来年の 11月に ウエディング 浮かれる君と 微笑む私
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3プッシュ あなたにはそう 言ったけど ごめんほんとは 6プッシュだよ
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ファミレスで まずは乾杯 相棒と もらい泣きやら バカ笑いやら
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満月と 言われる時期の 満月は 前後三日も 満月に見え
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おやすみを伝えないまま潜り込む 布団の中は暑くて暗い
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柘榴実れる人工庭園の一角に信仰深きことは信仰深き
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エリカ黄色に咲きシベリア抑留に死せる俘虜同胞を売り祖父帰る
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