あるくたび四足ぶんの鈴が鳴る 軽やかなりし八歳のねこ
12
テレビでアトラス彗星見てにわか天体観測好きになるわれ
8
寂聴の源氏物語くれし人背筋の伸びた卒寿の紳士
15
やめたはずの電子タバコがフリスビーのように戻ってくる 光
5
であげた南瓜かぼちゃ胡桃くるみとシナモンと砂糖を少しこの秋お初
25
満月の夜風 幸福を拒むのですか ならば降伏しなさい
3
毅郎の変わらぬ声と帰宅する左の目には秋空流れ
7
ひとしきり達成感の棚眺め足早に寝て終わる連休
12
どんくさい自分ワタシに一番言いたくて 「焦ると転ぶよ ゆっくりいこう」
20
あごのせは あんしんしている しょうこ証拠だよ ちま猫ちゃんは おかあちゃんのあんよ派!
13
故郷の、君無きさとに 蝶は飛ぶ、荒れた庭にも 咲いている花。
14
うちのが 夜中鳴きたる 神無月 寒き感じて 布団に潜る
12
暑かった夏はしつこく残りけり 今日も再び夏日の予想
8
虫嫌い 肩に留まるは秋茜あきあかね 蜻蛉とんぼならば、と緩む妻の目
18
彗星の「アトラス」テレビで見る夕べ足の自由を願わず暮れる
18
いつも名前を思い出せない花がある 別名は曼珠沙華
6
また連絡しますね。使い使われた言葉がまるで遺書のよう
8
眠れぬ夜 まるで百合みたいな言葉に囲まれ窒息の心地
5
三錠半半の薬で構成される身体からだ明日あすは海へ
6
隙間風の音を子守唄に 冬用の言葉を抱きしめ眠る
5
清宮と 北山のなみだ 星のよう 最下位をしる 者しかしらぬ / ポリー星
22
名曲流る曇りガラスの珈琲舘 一人座の吾の落ち着ける場所
31
この道のつつじの花は 時もなく いまをさつきと咲いて迷える
11
帰省せし娘は妻と大鰐へ、スポーツの日に温泉だとか
12
あんまりねいじめないでよ僕だって生き物なんだかよわいんだ
12
神無月 夜の静寂しじまに 月明かり 窓の外には スーパームーン
21
恐ろしき運転なれど我が娘 助手席座る 責任ありや
20
初心者のマークを付けて颯爽と 運転席に乗る 三女可愛い
10
空元気装う君の左腕にSOSと書かれていたのに
9
ふわり咲く あの日の少女 寄り添いて 母の傷には触れで微笑む
13