群れの中ひとつ小さな向日葵が花咲かすなり他枯れる頃
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強い雨どこにも行けぬ痛む傷そばにいるのに遠くなる音
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土用丑習慣の無い東北は魚籠のどじょうを食べてた昭和
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一面のピンク鮮やか蓮池にとんぼ群れ飛び夏を謳歌す
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国産の鰻を今夜食すなら何日節約すればいいのか
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カーテンを洗いし屑取りネットから小さな子猫一匹生まれる
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カセットで 君に渡すよ マイベスト 音と一緒に 恋心込め
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ぼくのマリアは手首の五線譜を眺めて ふたりだけの賛美歌を謳った
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光るインクであなただけの取説を作って渡して私を分かって
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夫の昼 うなぎのはずが お見送り 見本未満で 見合わぬ値段
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宅食でうなぎ食む母 豪華版 ちょっとお値段も豪華だけれど>月一でごちそうを頼めるそうな
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クーリングシェルターで出会った彼女とクラゲの季節迎えても夏
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「コーヒー飲む?」「いらない」の その言い方が 親しき仲にも礼儀ありとぞ
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炎天下 無心に歩く 夏の朝 貯まる煩悩 ポイ活の日々
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「夜、うなぎ?」 かぶらぬように 訊く夫 大丈夫だよ 社食で食べて
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草を刈る 面影の父と 山の墓地 夏の背に汗と ただ蝉時雨
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今年なら「穴子だよ」って堂々と出せる価格や土用丑の日
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盛り上がる今日より先に手に入れた穴子を出して土用丑の日
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煮浸しの甘長とうがらしの先 齧りて流るつゆの琥珀色
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人はなぜ毎日食べてねむるのか こんな問答孫としてみん
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ウミガメと一緒に泳げたことよりも喜ぶ君の笑顔が嬉しい
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『秋桜』は母が好むので 歌います ずいぶん若い時分の作品
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新聞やチラシに ねこは きょうみある カラフルなインク きらきらひかるよ
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餌もらうさくらねこほど気にかける人を持たない空白のぼく
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投げかけた「閉会式をしなくちゃ」の言葉は未だに宙を彷徨い
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真相を突き止めたとて真っ白な夏と私がここにいるだけ
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支配欲 いつから恋のふりをした?あなたと蝉が頭に響いて
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恋されて応えるように揺れたとて 私もあなたも恋じゃなかった
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満員の 電車吐き出す 人混みは 綺羅星のよう 輝く戦士
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犬を食う人に対して犬を食う人と呼ぶのは辞めよう 俺も
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