動かない タイムラインを 凝視する 深夜3時は 誰もいないね
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親友は いつでも私を 見透かして 「let it go」瞳を溶かす
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うみださない私が食べた穀物の意味と残した命のゆくえ
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飛距離付きキレキレ打球も見納め それでも人はまた歩き出す /23 青木宣親
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俺だって身を破られて痛いんだ確かに棘は君も刺すけど
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さようなら虚空に向けてさようならかえることなき言葉がひとつ
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できるだけ人畜無害になろうかと抜いても抜いても生えてくる牙
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鈍らせた気持ちはいつか音もなく堰き止められず決壊しゆく
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ひと瓶の苦い思い出飲み干せば再び前を向けるでしょうか
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早起きし「お見送りする」と言っていた 君は寝たまま出張の朝
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なにものであるもあらぬもおしきせの個性はいらぬ 僕はオレゆゑ
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欲望に果てなどないよヒトとして生きてる限りそれがフツーさ/果て
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学歴がないのにやたら法律に強い人ってちとヤバくない?
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「笑点で座布団運ぶ仕事です」ハローワークで見ていた山田/笑
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あらかじめ潰されているプチプチでつつむ希望感傷罪悪
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ひとふたみ いとしきものを うしなって 青はみえない あきの曇天
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愛されぬ 行方も知らぬ かの命は 福井の海に 産まれて落ちぬ
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後輩ともからの引っ越し葉書に綴られた文字の嬉しきあの頃高校のまま
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半袖で金木犀を頬張ってエアコンつけて秋刀魚をころがす
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暖かなグレーを抱えて生きていく タバコの煙 大人だけの味
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工場のエレベータ塔に日の暮れて ハナミズキの葉に茜色足す
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思い出を 消し去るのには 早過ぎる まだ踏んばれる 一歩ずつ進む
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噛みちぎるマルゲリータのLサイズ あいつのスマホ覗き見た夜
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波響く 細雨さざめの夜に傘を差し いつ帰ろうかと管を巻きつつ
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無い尻尾しっぽ一生懸命振る老犬 分かる分かるよあなたの気持ち
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鼻は父 目は母に似た我の顔 在りし日の記憶 鏡みるたび
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幸せが ゆっくり 来るのが 怖かった 不幸は いつも 急に 来るから
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シチリアの 岩塩が 隠し味だって 笑った君が いない台所キッチン
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耳の疵 漢の誇りと自慢する じゃりン子チエの小鉄猫かな
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奇跡って貴方きみに出逢えた事じゃなく 同じ時代に生まれた事だね
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