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「来年も 一緒に見よう」って言ったじゃん 誰のせいなの 用無しの浴衣
6
壬生駅の 前で撮った君のソロチェキ 色が枯れてく もう会えないね
5
降りてくる 浴衣姿に 目を伏せて ズボンで登る 駅の階段
14
捕まらぬ銀河の魚居ぬ鼠飽きてこの手に降れフェリス
5
生きようと頑張れるならこれくらい長い抜け毛を集めドネーション
21
悩みすら小さく思う 夏の夜の喧騒が秘める命の数は
10
命など儚くはぜる音だねと伏せる目照らす殺虫灯の
6
あの頃より
強くなれないの知っちゃった だって何回やってもだめなんだもん
10
古本の値札を剥がす指先にきみの仕事の正しさがある
11
幸せな恋が実って愛になる♡ だけど違った片思いだった
11
1ミリもない力こぶを見せつけて やるぞやるぞ私はやるぞ
10
義憤ゆえ石を投げては糾弾し 変貌していく悪鬼の如く
7
前向いていなきゃいけないのならあなたがいる方を前としよう
11
障害者手帳の相談したあとにオーロラグレーのマニキュアを買う
15
生きている証しと詠みし歌なれどすべて消したき朝 歯をみがく
21
アルバムの古い姿を懐かしむ そんなの嫌だと自らに課す
17
十五時になりて覚醒 蝉の衆 尊き夏の尊きいのち
12
白飯にイカの塩辛ちょっとのせ煎茶を注ぐお茶漬けが好き
13
綺麗だと 言わなくていいから君の 運命の人は僕だと言って
5
君がいた 十九の夏は楽しかった 明日
二十歳
(
はたち
)
だよなんでいないの
8
いつだって通知も瞳も見続ける ずっとずっと待っているから
9
会いに行く 横須賀線一時間半 大事なものを幾つなくした
4
「もう一度やり直そう」と打ちかけて スワイプして飲むあの日のスミノフ
7
贈り物 みかんジュース残り一口 飲み切らないまま君とはお別れ
7
見返れば
経
(
ふ
)
る愛を知るベランダの夕には眠る金魚の浴衣
8
もう君とこれで終わりと気づいても またねと微笑む夜の駐車場
10
多分もうあの熱量では愛せないよ、「それでもいいから」って縋ってよ
6
掴
(
つか
)
めそな綿雲
三
(
み
)
つ
四
(
よ
)
つふくふくと朝の青田を覗き込むごと
23
田舎だからって牧歌的であるわけない 煮詰まったなら人は狂うわ
17
蜩
(
ヒグラシ
)
の月に向かいて歌ううた 黄昏時に切なくひびく
21
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