庭園のなんと美し みどりいろ 言葉もなくただ ほうっとため息>アフタヌーンティー
18
キューピーの目だけが光る小児科で聴診器の冷たさが不快
5
戦後てふときにくくられつづくいまいつまでなのかいまだしらずも
12
一億の人間守りし調印書 銃より強しペンと漉き和紙
7
不自由の由を摑んで投げ捨てた 心身共にここに在らずと
12
空に散る 枝垂れ柳の火の花を綺麗と笑える この空のままで
8
溜め息を吐く。水底に沈めたら気泡となって浮上するのに
9
あらたしき軍靴を履きぬ戰争が選挙車の廻りにて喚ぶ「万歳」
30
父祖の父祖は死せばわれらが敵國の主格を換骨し憎しむ、敵とは
18
永久戰犯數長らへる政権の中枢一家に災禍はあら ず
16
蝉の屍を確かめしこと。黑白に嗄る仰向けの脚、脚 折畳ね
13
玉音、もはや手後れなる日本に響き――、無条件降伏の八十年 後
17
萬事健よかなれ よ。口語版教育勅語を起草せる聖・翻訳者
8
進駐軍讃歌を唄ふ教師、アルファベットを暗唱せる「自由」教室
10
數多滅びし焦土の防空壕の洞へ滴る脂、巌肌凭る骨
12
沖縄、その上陸の水艇は吐き出せり火炎放射のオイルも
11
或る歴史敗残の誤謬くりかへす島嶼の軍事基地に祷るも
13
アイドルオタクの一所懸命さ 何だかすこし羨ましくもあり
9
串打たれ炭火にぐるり並べられ 炙られはぜる養殖の鮎
21
神社にて幼き頃に覗き見た 破廉恥な二人のかいた汗
3
被爆した森の力は強まって 飲み込まれゆく主なき家
16
足下が少し冷たいでも眠いついでにOFFにしてくれる娘
7
「修理より買い替えだろうこの歌は」推敲中にため息で言う
16
我々が 「正義」と名付け 信じるは いつ何処で決め 誰が告げしや
11
雲見ても映画を観ても分かちたいやっぱり君が好きなんだなぁ
10
いつだって 耳を傾け 他人に聞く 平和の秘訣 口よりは耳
4
自分だけ 正しいものと 勘違い ひどい争い 終わらぬ悲劇
4
ノブちゃんの 悩みは深し 朝ドラも 考えさせる 愚かな正義
3
国家でも やっちゃいけない ミスをする 命呈して 止める人なし
3
加害者が 被害ばかりを 強調し 平和を唱え 笑われてるぞ
2