一つ落ち 二つ落ちたら 三つ落ち 四つ落ちても 職安がある
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生きるのに プライドなんて いるものか ただひたすらに 地面を舐めよ
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今日も行く 明日も通う 職安の 常連になり 惨めなもんだ
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曇天の 街は木枯れて この色を 地味な一日ひとひの 象徴と呼ぶ
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身と心 底なし沼に 落ちていく い上がれば 其処そこはまた闇
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「みんなそう」 「誰もそう」とは 思いつつ 弱い心は 「なぜ私だけ?」
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助走つけ遠くへ飛んでいきたいな 悲しみの向こうさみしさの向こう
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何しても上手くいかない一日を長男からのLINEが良い日に変える
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病院のそばに葬儀屋頷ける 寺社門前のラブホは如何に
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走馬灯じみた思い出蹴散らして死なないための軌跡を描く
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どんよりと沈んだ空にいちょう並木 澄み切っている空より、あるいは
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軒先で 一期一会の 雨宿り 雪に変われば ここを出てゆく
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泣かないでいられた日には水を汲む形の両手に乗るエトピリカ
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ひとはみな べつの公理系 いきていて 命題ひとつ ちがえば異世界
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妻帰省。麦茶の作り置きがある。いい音奏で湯呑を満たす
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蝋燭を虚数本だけ吹き消して現れいでたディラックの怪
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スキだった かお こえ ホクロ ゆび えくぼ タバコのニオイ つめたいところ
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君がいる 多分最後の 冬だよね 雪じゃ涙は ごまかせないよ
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音楽で図形で思考の断片で(やっぱ違うな)救いの擬き
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ビッシリと背中の裏に張り付いた黒を爪で剥がすような朝
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喪中とは言えず年賀状受けとる 遺影の犬はやはりかわいい
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人生のいもあまいもみ分けて 自己肯定感が少し上がった
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双子座流星群に夢を馳せ、雨雲よ今宵は晴れよ‼️
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仕事、多忙、終わらない、ゆうつな週末、雨
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ちま猫がリモコン踏んでテレビつけ 知らぬ顔して ねこベッド入る
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垣根の上 桃色と白の小さな花 お日様あったか うれしそうだね
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ここにきて、短期記憶の忘却度一気呵成いっきかせいにマシマシになり
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秋風の 便りを添えて梢より 降りて手のひら枯れ葉一枚  
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枯れ葉さん、ひとりで落ちていくことは淋しくないかい、怖くはないかい
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まだAIには我が歌の解釈はできぬらしい どうかそのまま
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