私にはたった一つの夢がある。叶わない夢、終わらない夢。
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四分の一のかけらを飲み込んで湿度の高い部屋で眠ろう
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輪廻からはずれて身軽になったなら 飛べるんじゃないかと思ったりして
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いつだって言葉は足らず であっても出会っても 祈りのように そこに置くだけ
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現金に負けないことが大事かと残業するより早めの夕飯
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車窓から夕焼け消える行く先はあなたのいない神戸の夜景
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人生のロールプレイング初心者です。 ハードモードで呪い解く旅
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春なのでしろいうさぎを捨てに行く よい おとなに なれます ように
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元カノがSNSをやってなく今どこにいるかわからないんだ
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失ったままの標を探してる代わりになれぬ導きの眼だ
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感傷の一言をただ記号へと無意味におこすコピーライター
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過集中 注意散漫 いずれかになってしまうと迫を産む
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年老いて耳も聞こえず目も見えず抱かれながら空を見る犬
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小間切れの母喰う犬と目があってヨシとほほえみ我も喰らわば
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明日からあなたを忘れて生きるなら、あなたを想って死んでしまいたい
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たまらなくなっちゃったから缶ビール今日は一気に飲み干すなり夜
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こんなに春で遠くの街があかるくて燃えてるみたいと助手席のきみ
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主なきハンガーの白、羽根まとい飛びたった人 冬置き去りし
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みずいろの色えんぴつで描くそら羊の群れがゆうゆう泳ぐ
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ひざの痛む季節よさらば晩春に運動会をまごは待ちたり
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人はみな変わっていくとは知りながら ホチキスでとめておきたい友情
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ひざ軋む音が聞こえやしないかとそおっと孫の顔ぬすみ見る
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このからだ重くなりしはいつからか階段山脈湯船海溝
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庭先の百舌のこさえた早贄を見ながら君とめざしを食べる
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惑星のごとき微熱を胸に抱くあなたが貸してくれたマフラー
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可愛いいね毎朝ご飯に尻尾ふる君の食欲うれし頑張る
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君想う心に負けて目を閉じて目蓋に描く君の横顔
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買いたてのレタスが口の中で溶け サッパリ冴えた暖冬の朝
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食べるとは成果に至る行為なりこの確実で頼もしき事
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旅になど出なくてもいい ぬくぬくと眠っていても人生は旅
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