ザイザルの不在を血混じりに擤み捨て、南方戦線異常あらずや
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バランスをとりつつ生きる難しさ またアイブロウ握りて嘆く
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竹の子が寒いと泣くがこちらとしては着込みすぎだと小さくもめる
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感動も 感傷もないも 人生を 望む人など いるのだろうか
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信仰を 持ちて歩める 聖徒らは 慈愛と希望の 言葉に生きる
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今朝もまた 起きるとするか 人生は 生きる理由を 探し求めて
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朗らかに 見ておれないわ テロリスト 大河ドラマの 若き栄一
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落とされた頭に残る胸ビレでどこかに飛んでいきそうな鯵
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(あの人は 僕と同じだ) 何度でも 鏡を見るたび錯覚をする
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思い切り弓を引きしぼり矢を放つ先の見えない風に向かって
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気づいたらここにいたのでなんとなくいつづけているだけではないか
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ブランコに乗らなくなったあの日から 確かに君は大人になった
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もう全部忘れたままにしたいので来たる展翅に腕を拡げて
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息を止めドアスコープを覗く時未来の匂いにつられているの
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木の間よりもりくる月のかげ白くいまさかりなり茉莉花のはな
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井戸の中を覗けば 水の面揺れる お水取り
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まずひとつタイムワープの壁として肉が光に成れないのです
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何遍なんべんも捨てても捨ててもそこにある君との思い出 やめてよ もう、さ
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春が来て 四月の病 襲われて 重い足取り 案じる周囲 
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洗濯物積まれたソファに横になる 眠り見る夢ハンモックの上
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もう誰が始めたかも覚えていない双六遊びの続く夕暮れ
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朝の駅 陸橋の下 彼を待つ 頬を緩める 我甘し 
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冬の夜 火照った顔の あの子見て 我も火照って 言い訳探す
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街灯の下獏にそっと宥められ 泣いてた裸足の人の見た夢
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子もいない未来になんの義理もない 消費するぞと決めた土曜日
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狭い空、星代わりの夜景、アスファルトが私の故郷 東京
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毒蛇に咬まれた傷を吸うようにバナナの黒いところを齧る
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鎌首をもたげ肉色に裂け咲けるなれ侵略的外来種なり
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なにもかも絵空ごとぞとおもふとき天にははなび地にはくちなし
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花愛でる 日々は遠く 君だけが のどにささった 小骨のように
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