伏せられた曜変天目のうちで今際に夜空をいただくねずみ
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飴色の吊るし玉ねぎ軒先に 冬は再び来るのだろうか
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権力の重力に囚われている魂を解き放つのが真の対策
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夏服の裾を絡げて走り去る、もう戻れない季節の君よ
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じゃがいもの冷たいスープ作らずに今年の夏がもうすぐ終わる
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夭折の友と出かけた演奏会チェンバロの音がただ懐かしい
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野辺ゆきのみぢかき影を塗りつぶす夏の呻きのようなひぐらし
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抱き締めてあげたいと思う人なんか この先出逢うと思えないから
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描いてなきゃ出会うこともなかったと言う彼女の絵に惚れてしまった
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「ぼくだって 誰かを信じてねむりたい」 それが叶わぬ、怪獣の子よ
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王子様なんて信じちゃいないけど魔法はいつか使えたらなあ
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寂寞の謂れをググる夏の果て「いかがでしたか?」夜や更けぬらむ
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幸福を 詠もうとすればするほどに ただ絶唱が ただ絶唱が
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ウイルスに言葉があれば歌われたであろう史詩の夢などを見る
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食感だけ褒める味覚と視覚でも3歩前行く姿が自慢
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これは罪の告白ですが、絶対に不幸になってほしいひとが、いる
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悲苦の果て 心は暑気に屈しても 両足で立つ 十六夜の下
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この夏の自由研究 寝起きだけ素直なきみの観察日記
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今もまだ831日の足音だけを記憶している
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八月のげにうつくしき音がする 晴れ間の隙を駆ける涼風
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似てるけど やはり違う、ということが 彼のこころをばらばらにする
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自惚れやの詩人であれ 苦悩する若人であれ と 己を鼓舞
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いいね1つけた誰かとすこしだけ すこしだけでも話したい でも
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常温の桃サイダーの泡沫ほうまつのはじける音が打ち上げ花火
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無茶をして叱られたって僕たちの夏はひとつも無駄じゃなかった
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各々が恣意という語をほしいまま操ればそれ恣意的である
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急な用 なんてないのよ いつだって 急になるのよ 連絡すれば
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生きているだけでほんとはえらいけど 撃たねばならない 打たねばならない
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両耳を切ったところでゴッホには なれはしないし 気も狂えない
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共通の敵の前では人類が一丸となっ……てませんね、はい
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