ぼくたちは青白く淡い希死念慮切れたシャンプー 買い帰るのに
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明日の二時錦糸町駅南口に立つ老婆こそ未来のきみだ
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‪慎重に進んでだめになったから極端だけど次は気楽に‬
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背景の一部になっていく君がいたから少し優しくなれる
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「夜までに止むといいね」と言う君と遣らずの雨をこいねがう僕
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僕たちの世界を変えるきっかけはいつも瓦礫の中でうまれる
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「もう八年経つから消えてほしいよね」笑い話にする左腕
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‪気づかれてないと思っていたけれどひとえに君のやさしさだった‬
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ははそはの母のふふますちちふさのあまきにほひのはるかにとほく
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ケンタッキーフライドチキンのテーブルに積まれていく元恋人達の死
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割りすぎて溢れ出したるどろどろの腹を正体とは呼ばないで
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フェルメール色と呼ばれるあの青の絵の具がないときみが塗れない
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今日もまたなんでもないこの一日が終わることへの不安と安堵
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時化ゆえに 訓告与ふひと 耳は故郷くにのことばの 間延びしを追ひ
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首筋の彼氏とセフレの境界に指先で引く藍色の線
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もう一度あなたと出会い直すなら言語化できない愛をください
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口角を三ミリ上げて目を細めプライスレスの笑顔を捧ぐ
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幸せになるには一本線を刺す きっとそれには痛みを伴う
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ダメの「ダ」を強く発して帰宅後に机に落とす頭突きがひとつ
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唇は不意に動いて出鱈目な歌詞でもいいさ次はイエモン
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ぐぅぐぅぐぅぐぅと寝息をたてる小型犬鼻をふとんに押しつけ眠る 
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すききらひすききらひすき乙女子のかざしの花をちらすあきかぜ
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即席麺の丼ぶりが乾きゆく部屋に寝息とアダルトビデオ
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俺の名はホントは何というのだろ 自分で決めたい 自己決定権
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さよならを浮かべた空のレモンティー 星をかきまぜシャンパンにする
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酒なくばこの世は地獄 酒飲めばこの世は極楽 月が明るい
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知る事はしょっぱさがなきゃ旨味無いなどと訳知り顔のお汁粉
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金曜日やることなくてうつぶせで短歌を作ってこの幸せよ
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あの夏の残り香かぷかぷ食べ浮かび鱗雲に届くつま先
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飛ぶ鳥のあすかいまかとまつのみのいつみきとてか恋しかるらむ
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