寂寞が食い散らかした肉片の俺をクリームソテーにしてよ
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液晶の口語な君の書き言葉をなぞることで埋まる空洞
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マンホールの上でダンスするキミは それはまさしくガッバーナだよ 
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春風に転がってゆく紙くずが 最も尊い意思を持ってる
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レコードがのどかに回る地球からすれば私もわずかなノイズ
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静けさが響く図書館その中に気の合う本の鼓動をさがす
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相聞をやりたくたって先方が「人類」とかでは返歌が来ない
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きみたちが たくさん〝おはなし〞できるよう ぼくはとおくで 祈ってるっピ
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向日葵を見れば哀しい世の中に誰がしたんだ'O sole mio
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午後五時のサイレンの後の工場はキリンが歩くサバンナになる
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溺れてるひとがいないか監視するように守衛は海の絵をみる
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藍色の地獄旅行さ君が持つ微かな補色だけが光源
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落書きをした後触れたもんだからシャツにチョークで外国の虹
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「ありがとう」っていいよね、言っただけで善人になった気がしてさ
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思ってもいなければ詠む必要もないそらごとを無理やり歌う
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なるかみのトーン・クラスターを撃つたびに祈ってるとか虫が良すぎる
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「友」・「敵」の二つの箱を「他人」という一つの箱にまとめて入れた
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一族の語り女かたりめたちの肉体は 秘密を満たす容器いれものである
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地形ダメージをすべて無効化して歩けるのなら是無上な夜
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白き百合 講壇に置くイースター 四十二回目の春が巡りぬ
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硝煙の臭いが消えぬ指先を持つ娘が語る命の重さ
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もうそんな季節かと問う飲み干した600ミリのペットボトルに
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撃鉄を起こして確かめる君の血が 僕と同じように赤いということ
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黎明に眠れる君の頭蓋を抱く 乙女椿は首から落ちる
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いつか住みたいなとおもう淋しいと草笛を吹く子のいる町に
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遠く遠く近くまで来(きた)る春の闇は 私の恋の夢を覆い隠していた
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刺す風がやわらかみを帯びそして凪ぎ次吹く風はまだ知らぬ風
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傘の上に降る雨は地に落ちるさだめ知らぬがごとく放射状に遁走する
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差す傘に重さを感じるほどの雨涙うるい 赤血球を欠いて透明
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廂から雪が落ちるたび小屋の中で小刻みに鳴きながら歩き回る鶏
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