背戸の藪 枯木の梢に鴉いて声をかければ唖唖ああと 啼く
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沈丁花 帽子を飛ばす風に乗り 探してしまう透明人間
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木々の間をざぁっと吹いてセーターの真青の肩にとまる紅葉もみじば
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寂しいという言葉さえ知らぬ子の 孤独を乗せて 春月の舟
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手を摩り 入る書店の高揚よ 棟方志功にジャズの夢かな
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寝返りを打ったねこから「フゴ」という 鼻息漏れて おもしろかわいい
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晩秋の 人混み分けた先で待つ トドと握手し しかめる君よ
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温もりも 冷たささえも 泡のよう 掌のなか 雀の亡骸
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踏み分けて人訪ひ来やと驚かる積もる落ち葉に風わたる音
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風を巻き 背にした丘のハマヒルガオ 飛沫いた声を いつか教えて
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「ネコ寝込むカエルは帰る」そう言った息子と逢えず流す歳月
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簾越し 青い朝顔 通り雨 君と別けあう 花の行方は
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蝉の声 午睡の猫の夢うつつ 泳ぐ海原 水色の服
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思いがけず君とおしゃべりできたから何でもいいや今日は良い日だ
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人人ひとひとに いろんな人生 在るけれど キラリと光る瞬間ときは 誰にも
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待つことも 嬉しと君はひとひらの 紅葉拾いて僕を笑わす
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人間のことが好きなはずなのに人間のことがうっすらこわい
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太陽を 背にした 僕の 足元に 命を狙う 死神がいた
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流水で解凍とかすお好み焼きソース 時間のかかる水温となり
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帰り道いつも偉そに“止まれ”って命令口調の一旦停止
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コーヒーと冷凍ドリア 黙々と 洒落たスプーンで 満たす休日
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お互いに本好き夫婦 わかってる 小説、コミック増える一方
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読書の秋 1冊収納 5冊出す リビング全然本が減らない
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義父母ちちははと来週ディナー楽しみに インドカレーのメニュー眺むる
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入院した父に会いたいと 母が泣く 会わせてやりたい 子どもも泣きたい
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上着着て「ポケットある!」と発見しカードを入れて園に向かう子
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シミシワも増えてますます似てきたよ 写真の母は 失礼ね と笑む
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貴女あなたがお腹を痛めて産んだが 還暦迎えたよ お母さん
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雲を呑むような心地を雲吞ワンタンと書いた詩心 漢字はポエム
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服さがす 予感はしてた 困難と 見た目重視の 断捨離のツケ
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