春風にゆうらり揺れる桃の枝子守りの如咲く花夢見
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ジャンパーに春の夜風を孕ませてペダルを回すムササビのきみ
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この冬も寒さに慣れてしまったよ  痛さ寂しさ怖さもついでに
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わがままという名前なら許される 好きとか海を見てみたいとか
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君が大人であることを知る言葉 知ってしまった 見たくなかった
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iPhoneに魚眼レンズを取り付けて空の広さを教えてあげたい
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かまぼこも元を辿れば魚だしダイヤもタイヤも実質同じ
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少し緩い祖父の形見の礼服を通り抜けていく十月の風
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絶対にただしいものしか愛さない、みたいな顔で生きる悪人
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階段を 登ったけれど シンデレラにはなれなくて 首を吊られる
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傷付けば 傷付いただけ 五線譜が 君だけの詩が 生まれる二月
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かなしみを 一切溶かして しまいたい 君のつむじを見て 思う夜
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可能なら 定時でおうちに 帰りたい それがそんなに ぜいたくですか
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冬至とうじ粥私の指は見えぬともそっと食む犬そのやわき舌
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泣けるなら 泣いてください そうしたら 君のお声を 飲ませてください
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虹よりもがま口バッグの口金が欲しいよきみをパチリと留めるよ
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手紙、花、思い出、笑顔、ちょこれいと あなたがくれたちいさなひかり
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冬の雨ブレザーに隠した歳時記を忘れて戻り一息つける
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渡すのを 延期にされた このチョコと 気持ちも一緒に 延ばせたのなら
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天井のドアを開けば青空に行ける気がした横たわるビル
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綿菓子の芽がプクプクと出てきたら 薄めたミルクじょうろでまいて
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まだこれを何と呼べば分からない心に君を浮かべて消して
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地位名誉 よりも綺麗な 口金が欲しい 大きな夢より クリームを描く 私
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Ignition❗スリーツーワン着火🔥チャカボン俺は大気圏ステーションの君Can you hear me ?応答願う
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温石(をんじゃく)の如 キャタツに足を伸ばし 昨日までの旅路を夢見る
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イニシャルでざわつく鼓動に嫌気さす 立派な大人の安易な思考
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終わる冬放たれる冬父居ぬ冬 降り注ぐ冬泣き止めぬ冬
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好きだとか言うだけ無駄さ、いつだって  言った途端に物足りないんだ
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「雨は夜だけ降ればいいのに」と言う君に触れることさえできない
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こんな日に傘を忘れて信号を待ちながらまた かぜ を待ってる
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