俺を射る吹き矢もうっかり吸うだろう石鹸水でむせてるつむじ
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ボールペンカチカチさせて爆発を期待している悪い子だれだ
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「天使が通る」とはよく言ったものだ ホワイトノイズの向こうの君
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爪を塗る密やかな夜の静けさよ 明日は遠くへ歩いていこう
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朝はいつも布団の上で真夜中にうたった歌を思い出そうとする
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目が覚めて忘れた夢を思い出すとき、死んだものしかいなくなっている
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傷ついているのよ君は 無自覚の白いTシャツだけが知ってる
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二週間前の僕らの生活を試されるため おでこ差し出す
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あのヒーローの連続パンチが堪らない、最後のキックとビームも素敵
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彫刻刀カボチャに刺して顔にしてきっと月末はゆうれい騒ぎだ
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灰でしか息ができないぼくたちはキスをするたび苦く溺れる
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呼吸するあかい火種だけが明るい 死に絶えた部屋燃やしつくして
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帰りたい (あの日の空へ) 帰りたい だから私は 上ばかり見て
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借りものの晴れ間が過ぎ去り残るのは湿ったにおいの淋しい夕日
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同じ穴から拔け出てもその先の世界がひとりひとり違った
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削ぎ落とす1キロだって残さない私は羽になりたいだけで
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常闇のなか突然のかがやきで黒猫の目もいよいよ君だ
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幾千の巨大な鮫がグルグルと上空泳ぐ街にすむ神
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愛や夢追い炊きできればいいのにね給湯器の声いつも鼻声
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積みましょう君にとっては塵芥ちりあくたやがてその日がやってくるまで
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約束は果たされることなくひとり 抱けぬ女はいりませんか
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もう顔を思い出せない君の手は真珠のような色をしていた
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色素とか音とか匂いも薄くなる秋の始めの僕は透けそう
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テスト明け何でも出来る気がするよ、例えば君に話しかけたり
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トビちゃんと声をかければおもむろに 頭めぐらす鳶の威厳
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ガムの味桃の香りのする紅茶バニラアイスが多分必要
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浅黄色のソファはさながら救命艇寄る辺ない夜へ漕ぎ出していく
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僕だけが生き延びていて 僕だけが君が幽霊だって知ってる
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自らの意志で殺した 己自身 互いにそっと花を手向ける
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後で捨てるつもりの遺書だし 銀行の住所変更しないままだし
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