銀杏かと思ってみれば違うので近づいてみりゃ蛾の羽でした
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手に触れる温度のようにやわらかくそして悲しい現象学
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同情で取り戻せる縁ならば 1人はこんなに孤独じゃなかった
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新学期あの子の鞄に増えているキーホルダーに夏の思い出
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互換性の高い人生 UNIQLOのサイズアシストに記憶さる我
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戦争は宿痾しゅくあ治療の術は無し『ばいかる丸』二十六頁
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折りたたみ傘をしまえば萎れてく庭の朝顔とうに枯れてて
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厚き雲 降るかわからぬ秋霖しゅうりんに 洗濯するも 干すのがかた
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浴衣着て 君と過ごす 夏の夜 花火に照らされ 惚れてしまった
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夜七時 涼しい風が 頬触れて 君と過ごした夏が もう終わる
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飲み干したノンアルコール缶軽く軽く買われて軽く捨てられ
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子の喉にビー玉一つ隠されて思春期だとか反抗期とか
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胸元に挿してるペンを手渡され体温感じときめき隠す
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物欲の強いポケモン二体居り 兄ホシガリス下ヨクバリス
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また来るよみたいなノリでこの人生さよならしたい みんな笑って
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わがための墓はあらずや幼な子の両手にあふる桔梗あるのみ
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鳥の群れ遅れる二羽の旋回に 運動会の季節を思う
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馬鹿みたく甘いチョコなど食べたなら溶かされてゆく胸の弾丸
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醜きは 大人の所業 戦争や 極悪非道 学ぶ能わず
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下らない 大人の真似を するよりは ピーターパンと 戯れようと
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酒に酔い 怒鳴りて他人を 殴りつけ それでも大人 それが大人か
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金儲け 己の欲を 追求し 他人に勝たんと 大人の世界
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幼少期 大人を憎み 育つ故 大人にならぬ ことを誓いし
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年月を ただ繰り返し 浪費して 何も学ばず 子供のまんま
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精神は 子供のままの 大人あり なんと多くの 子供の大人
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時過ぎて 姿形は 大人だが 老いても未だ 小学生並み
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いつの日か 幼い子さえ 成長し 大人に成りて 老いるはずだが
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青春は 当の昔に 過ぎ去りぬ 何も変わらぬ つもりでいたが
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夜明け前 東の空に オリオン座 夏の終りを 今告げに来る
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生きてると 感じることを 恐れるまま 長いこの夜は ただ過ぎてゆく
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