人並みに操作可能な身体であってもそれなりに不自由だ
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山の背に目を凝らしても見えぬ君まだ泣く我に新涼の空
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俄には信じられんと子ら言うが われにもあった あの青い春
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沖縄の歴史と吾の生きたとき 重み違いし半世紀なり
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誰も知らない物語などもうこの世にはないはずなのに筆を止めない
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融けもせず真夏の雪はさるすべり 熱い風にもさらりと揺れる
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新学期 残暑は未だ残りけり プール納めは 秋分に願う
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もう辞めた会社の人事人づてに知るパワハラであの人左遷
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道ばたで寝そべる人を睨む君 それが僕でも同じだろうか
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東京のバカヤローがと大合唱 同期と帰る首都高の夜
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流れ弾警察庁の上当たる まだまだ爆ぜる山上の怨
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なぜ先に朝飯食うと下が泣く 学校始まるシステム諭す
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横文字が覚えられない人との会話 何を指すのかほとんどクイズ
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テレビ観て吞んでみたいとこぼれ酒 十三年後呑もう酒場で
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古代人美人の定義思い馳せ女郎花おみなえし咲く秋のはじまり
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心臓シンゾーは真の標的マトではなかったが 当たって無事で済むはずもなし
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幻影に 惹かれ迷いつ 惑わされ 元来た道を 止まり戻りつ
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片手間の 愚かな希望 潰えれば 正気に戻り 日々の責務に
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祖父作の歌集の礼状したためる ひ孫の写真自作を添えて
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終電には帰る気だったが始発まで居るかと聞かれて「うん!」と答える
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「爛れてる」。皮膚も生活その全て。お風呂に入ってゆっくり考え。
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村上の『海辺のカフカ』読み返す。我も高知に行かんと欲す。
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黄昏の光を窓から眺めるよ。外は夕焼け、僕は孤独。
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生活が荒廃すのを眺めては、君と居た日々想うばかり。
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数十回後部座席に同乗しバックミラーの目に遇いし一舜
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見えぬもの探す夜空に君想う水金火木土天冥海
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個人的願望として人類の時間は二度と循環するな
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一本の煙草の煙狭き部屋漂い続く君への想い
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君の去る午後九時のあと知らぬまま光る街燈月を遮る
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嘘ばかり上手になって 自分さえ ついうっかりと騙してしまった
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