土瀝青 昇る苔の香 水底に 雨垂れ泳ぐ 鉄魚の群れ
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一日を無事終えられるありがたさ私はもうすぐ仕事を辞める
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インドカレー屋の兄ちゃんがオメデトとサフランライスに立てる日の丸
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やれやれとため息をつきパスタ茹でアイロンかけて村上春樹
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抱き寄せて同じシャンプーの匂い今甘い香りに包まれ眠る
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午前4時睡眠薬を流し込み眠れぬ夜ただひたすらに朝を待つだけ
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机越し 来ちゃいましたと 言いながら 先輩ちょっとは 困ってください
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この街は 変わらないねと 君の言う、スカートの裾に舞う夜の灯
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あなたなぞに 何もわかりはしませんと 思いながらも 紅を引く朝
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東京をモチーフにした芸術は多く現実の東京ここも劇場
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眠られぬ夜に羊を数えると頭の中に牧場できる
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川柳の一つも詠めずにイキるやつ心の無さにうぁーってなる
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ストロングゼロだけは飲んじゃ駄目だよ と言ってるけどいつも買うのは
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SNSインスタントな関係性別れも言えず切れる哀しさ
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溢れ落つ 伝えず伝う 一雫 露と消えるか 波の随に
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寄る辺無き この身を知った 浅き夢 明日は骸か 灰と変わるか
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本当のマジでリアルなガチのやつ真面目に本気でヤバいアレを
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音の出ぬ壊れたテレビ流れるはゴシップ事件汚職もういいテレビは棄てる
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人肌の 温もり恋し 黎明の 頼りなき陽に 盲目と知る
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黙るねこ また目で愛でて ひと休み メーデメーデー ひと休み
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真夏日に 雑踏の中歩く足 行先ちがえど 皆急ぎ足
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存在を確かめたくてなかゆびでそっとなぞるは恋人の頬
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雨音に 傘越しの空 見上げれば 泣き顔の君 心を揺する
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底にる怯え震える心たち出会っていこう僕らで共に
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酒の席光る男の薬指寄りかかるひと「やめてよ」という嘘
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暴力をなかったことにしないこと弱い僕には耐え難いこと
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無け無しを搾り取られる何時迄いつまで絡繰からくりよ 粉々に散れ
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文具屋の主人を真似し爪を切り いろがみ切らし炭酸を飲む
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発起して 机向かうも 一人遊び 焦りは空へ 目線は下へ
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本を読み暮らして 黒き香箱と白き小部屋で生かされてゐる
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