夏の日は 右手ににわたがし ひだりに君の手 最後の青春 花火に散る
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隣家にはハツユキカズラ 我が庭は伸びるに任せた草が根を張り
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在りし日の父を見かけて追いかける グーグルアースの異次元のなか
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家中のゴミ一袋押し込んで 自分の部屋のゴミだけ忘れ
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水中で目を開けるコツ掴んだと 今朝と一転勝てば官軍
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慰めの言葉不要になりにけり 昇級テスト二度目で受かる
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亡くなった人は星になるらしい太陽と月はアダムとイブか
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まだ誕生日の人はいません 十三月は生きてる季節
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台風よ僕の進路も決めてくれ焦りは依然勢力を増しています
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もし、この世に 時計という物がなかったら 腹時計のみで生きてるだろうな
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流れ出た涙で割って爪の垢煎じて飲んであの子になりたい
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ぼくは若い君を抱きたい「青春」を「マチガイ」と読み始める前に
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どっちがいい?と見せる両手に缶二つ まんなかがいいです、とは言えずに
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私もまた蚊を締め出した部屋の中から見る空が好きなのだろう
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好意とはかくも愉しきものなると過去たちにある優しさ超ゆる
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あまりにも恰好よすぎた君なれば好意に恋し砕け散り行く
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初めからここに居ればなと言われた好意に恋をしたのは私
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銀杏かと思ってみれば違うので近づいてみりゃ蛾の羽でした
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手に触れる温度のようにやわらかくそして悲しい現象学
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同情で取り戻せる縁ならば 1人はこんなに孤独じゃなかった
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新学期あの子の鞄に増えているキーホルダーに夏の思い出
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互換性の高い人生 UNIQLOのサイズアシストに記憶さる我
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戦争は宿痾しゅくあ治療の術は無し『ばいかる丸』二十六頁
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折りたたみ傘をしまえば萎れてく庭の朝顔とうに枯れてて
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厚き雲 降るかわからぬ秋霖しゅうりんに 洗濯するも 干すのがかた
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浴衣着て 君と過ごす 夏の夜 花火に照らされ 惚れてしまった
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夜七時 涼しい風が 頬触れて 君と過ごした夏が もう終わる
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飲み干したノンアルコール缶軽く軽く買われて軽く捨てられ
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子の喉にビー玉一つ隠されて思春期だとか反抗期とか
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胸元に挿してるペンを手渡され体温感じときめき隠す
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