ぽろぽろとこぼれた涙は宝石よひとつぶひとつぶ箱に詰めるの
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印刷の活字が愛しい時がある指でつまんで口にいれるの
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風そよぐプラットホームは真空の世界を吸い込む私はどこだ
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湯気の立つ白米真上に生たまご ぷすりと刺して黄金色こがねいろ広げ
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仰向けに寝て仰向けのまま起きる 僕らの身体はかわるのがこわい
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握りしむ稚児ちごの手のひらゆるほどき五指を確認ああ我が子
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神として産まれし のちに歯車として生き 果ては人として死ぬ
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横臥した身体を 縦に裏返し 髪をとかしてその朝を待つ
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夢うつつ 薄目にゆらぐ壁模様 今宵兎かあしたは蛇か
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階段をのぼる先には清い空 偽善も偽悪も必要ないの
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好物はもう味わえぬ 帰り道畑で食べた生ぬるい西瓜
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指先に神経の束 頭頂が緩み私は私を許す
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星を背に始発電車を待っています 応答して ねぇ 応答してよ
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お互いの髪を乾かす火曜夜 明日も明後日も僕らは最強
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残業し癒し求めて抱き寄せる   猫「飼い主よ飯はまだか」
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夏休みプールの後のポンジュース 空ってこんなに青かったっけ
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滅亡後も深夜はシティーポップだろう 高速を走る弥勒菩薩
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カサカサとコンビニで買ったパン2つ タッパに詰めた弁当の横
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母は魔女 すぐにできるの! オムライス 「おいしくなあれ~」 秘密の呪文
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かけられた 言葉の魔法に にじゅうまる てんをつけるよ 宝だからだ
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まどろみの ふちでうまれた泡沫うたかたを はじけるまえに七七しちしちにのせる
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ゆきが降る さらさらさらとそれからぼだぼた最期はざーざざー
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ぜんぶいやバカバカバカバカバカバーカ宛先は夜部屋の天井
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ついったあ貴方のページをのぞき見て別れてもなお行ったり来たり
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長く付き合ってきたから嫌な人。コーラを煮詰めてコーラを作る
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尿検査カップを少し傾けて。潜水艦が浮上する気分で
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もう寝癖と将来を気にしなくてもよくなった朝に塗る桃色のジャム
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毎日の「いってきます」のその声が記念日よりもずっと大事なの
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冷やうどん、セブンで買ったとり天とレモン乗せたらめっちゃおいしい
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誕生日忘れるわけない貴方の日 私の携帯スマホの暗証番号
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