年の瀬のオフィスの消えないLED眠らぬ街よ眠れないのか
3
僕達は居場所を求め惑う群れ震える声を寄せ合いながら
0
帰省時の久し振りの新幹線富士山見忘れいつもどおり
1
独り軽くビールあおればいい夜で雪雲の風に竹の囁く
1
踏切の手前の一時停止にも似たゆるやかな気持ちは降りる
3
禁呪が地で這うような場所に幽霊ゴーストは見当たらず、ホラー映画をひとり
0
終末の秒読みもなくふんわりと人も巷も暮れ果ててゆく
3
悼みなど 誰にも見せず 生きてゆく 僕の心は 僕だけのもの
1
ノーと言い 言い続けても 何もなし イエスと言えば 奇跡が起きる
0
大みそか荷台にソリとトナカイを載せて北へと向かうトラック
1
現実を 抱きしめるなら 現実に 豊かな恵み 受けられるのに
0
暖かき 血潮流れる 人間の 全てを愛し 拒否するなかれ
0
目の前の 人を愛せず 軽んじて 永遠の命に 堪えられようか
0
永久に 天に玉座が なかりせば この世はすべて ただの幻
0
目の前の 舞台は回り 移りゆく されど演者は それに気づかず
0
ひと時も 川の流れが 留まらず 風が吹いては 何処か消える
0
別れとは いつか必ず 来るけれど その時までは 感じないもの
0
死ぬよりも 恐いことなど あるもんか 死んでないのに 言い切る自信
1
誰か来て 時計の針を 止めないと 生きる時間の 残りが尽きる
0
過ぎていく2021の背中 まだお前に言いたいことがある
2
両の手が塞がっていて拾えないはぐれ手袋雪に埋もれて
1
きみが詠むうたにいつからかいる"きみ" 抜け駆けかよこのやろう許さ
4
大阪でまた火事だって物騒だ火事と喧嘩は江戸の華だよ
0
故郷とか家とかそこに「帰る」とか、その発想が苦手なもので
1
来年はどうなるのかな まあたぶん虎コス女の絵を保存する
1
ひとすじの赤紫で君の背に残りたかった今年が終わる
1
スチームで何でも解決できそうな気持ちになれる通販番組
8
やわらかな横隔膜にキスをして夢みるような恋はおしまい
4
棺桶に恋心放り込んだらしっかり釘を打ち付けておく
1
読みかけの本に栞を挿すように今日の夜空に歌を挿し込む
6