沈みゆくXという名の泥舟で 青空に飛んだ人の手を見る
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白白しらじらと 嘘を付くのは 君の癖 吐露してみせて 流離さすらう機微きび
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老眼鏡かけても読めず虫めがねサプリのちらし「ご注意事項」
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葉桜の背にそびえ立つ森タワー 外から見るには美しいのに
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帰りたい気持ちを殺して残業す 早く終われどイライラ消えず
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一球に泣く粘投の惜敗は開幕投手みんなのエース
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いじらしく そっとあなたを 見つめるの 投げつけてみよう テレパシー帰りたいです
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三日前 遠い昔に 思えたの 次に会うのは 遥か未来ね
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「暑いです」二日の夏日に音を上げてすぐお返しの最高四度
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花筏 墜ちた羽虫を引き連れて 海を目指そう水葬の旅路
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夢でだけ会える貴方は誰ですか 名前も知らない親しげな笑み
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うたた寝から目覚め ねこ母 汗ばんで 穀雨とぞ知る 春から初夏へ
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蹲る時だけ私の足元できれいな星はゆっくり、回る
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きみという生きもの以外の心臓が止まっていると思い込む春
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あなたを花に例えたとき世界から失われていく希少言語
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少し寝よう入眠途中で見る夢が忙し過ぎてやっぱり寝れない
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通勤路うつ向きながら歩く癖見上げ驚く新タワービル
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ダイエーのフードコートで母コーヒー ご年配(に人気の)ソファが満杯と云ふ
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「京都から博多まで」藤圭子好きCD聴いているずっとファン
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あなたの体はとってももろくて 誰も気にはかけてくれないね
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こじつけて広がつてゆけ君の未来さきヤグルマギクは放射に咲きて
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花の名は知らねど歌に遺したき「紫」「春」で検索をかけ
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通学路途中で分かつ吾と子の間に咲ける名の知らぬ花
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さわられたとこから腐敗していってわたしが消費されていくこと
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やっぱりさ母のご飯がいいでしょう? レトルト三昧ざんまいニヤリと息子
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熱中し 昼時過ぎて 腹がなる 気付かぬほどに 手仕事楽し
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点鼻薬 慣れない味に顔しかめ これも一応 春の味覚か
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葉桜とよろこばしきことつづく日がなんともうれし うららかな午後
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欠けてなお第一線のマグカップ あと十年は持ってくれよな
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大切に取っておいたのこのマフラー 使わぬままに死ぬのは嫌ね
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