仏像に熱いお茶かけ手にやけどしつつしびれて将棋勝ち寄す
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「前線」は血生臭さがつきまとう桜前線は冬を殺して
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自らをなじる言葉は同類の友を傷つけ懺悔もできず
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沈黙の過去の面影なくなった 机の周りいくつもの笑み
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透きとおれ真冬にうかぶ通学路 一斉休校初日の朝に
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君らしく あなたがいうのは 私じゃない タラコもナスも 得意じゃない
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花曇り咲くか咲かぬか惑えども 木の芽に桜の記憶ありけり
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春はただ 陽光ひかりの中に すみれ色 溶けて紛れて 揺蕩う終日
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流氷に見立てたベッドで微睡みたい起きたらどこかの知らない海かも
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耐えかねて背の十字架を降ろすなら死ねともう一人の私が言う
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もうタコは食べるものかと誓った日 100泊火星旅行の帰り
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先輩に「肩の力を抜くことがコツだ」と言われ「ハイ!!!!!」と答えた
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裏付けも信じる強さも今はなく それでも頭脳よ正しく回れ
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サイドゴアブーツを白いスニーカーへ視線の先から春にしたくて
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可憐なる黄色い花は幼子の ブーラブーラミニブランコの如く
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503 君の洗濯で 目が覚めて  タバコを蒸す 露台502
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苦しみて 高ぶる熱の ほとばしり さることながら 沁み来る陽射し
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正しさを忘れてしまったこの春にただできるのは眺めることだけ
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朝日より漏れしがごとき細川も拒む堰なき海の泡沫
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寒明けに嬉しいこと豆食べる 鳩がいるなり平和な春や
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画面越し 遠くの国にいる人よ 今日もあいさつ ぽえぽえぷぴー
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三月になったとたんにあたたかい 懐の方もあたたまってくれ
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この冬は霜は三日雪はなし温かいのにウイルスは来た
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マスク顔仮面の街が現れた得体しれない微小の恐怖
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怖いのは君を失うことだけで失った今なにもそれほど
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やはらかくゆるやかに吹くはるかぜにほころびにけり辛夷のつぼみ
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‪言葉より触れて伝わる種族にはない悲しみがまた一つ、ころん‬
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嫌よって言える相手のいることの甘い響きでイヤイヤをする
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春の川淡雪トロトロ消えてゆき 我のわだかまり融けてゆくなり
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岬の浦伊勢エビ老舗並びおり 五千円マーク五万と見違う
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