「110番子供の家」と通学路 昔ながらの通りにありき
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君と手を組んでみたくて少しだけ速歩きする そんなもう春
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打ちてた死体のような枕木まくらぎの上をオォイと走る快速
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弱みなど見せるものかと意気込んでコンシーラーを塗りたくる指
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否応なくリピートされる悪い夢四角の向こうに祈ったあの日
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ほら月が綺麗だよってゆびさせば一日過ぎた満月がある
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存在の 証明証書 あったなら 今この場所で 捨てさせてくれ
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三月のぼくらはアニメになりがちで、吹く噴く芽吹く鳴く泣く、ぬく
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折られても 花は咲くのだ 何度でも 九年の月日 春うららららら
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傷心 見せぬ強さに 迷う君 影は光と 僕は問う  
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図書館に来たが借りたい本たちのリストアップで疲れた 帰ろ
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みわたせば ここがわれらのふるさとだ なんにもないね なんにもないな
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ああ今朝も夢を見ていた 懐かしい匂いがしていた 戻れない街
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露と落ち露と消えにしわが身だってさ そっかぁ俺らも露だったのかぁ
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いま君は波の下からぼくを射て天のひかりは全てたましひ
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畑起こしうねりうねりと耕せり 春陽を浴びて遠く見渡せり
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飛梅よ 主なしとて 常世に舞う 先行き見えぬ 我を後目に
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右を行く 夕日の君の背 振り返らん 僕は左の 道すがら
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傘ささず 出て行く君を 見送ると 強がる振りの 頬濡らす
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知らないという幸せをどかどかと歩く上階の住民はもつ
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振り向かず岐路に立つ 君 消えた先 ずっと見ている 鳴るクラクション
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責められたような気がしたときにこそ縛られているこだわりがある
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横たわる線路が無数の枕木で無数の夢を並行にみる
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桃の花丹精込めて植えられて ささやかな香り仲春過ぎまで
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ゆきやなぎ咲きそめにけりわが妹が衣はるさめ降りみ降らずみ
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嘆いても 西へ太陽沈み落つ 暗闇拒んだ夕日残して
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軽やかに呼ぶ声遠く春の余波 水槽越しの呼吸困難
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くつひもは踊り出せども散り散りになることはなし かたや桜は
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歌えないカナリアなんてほつとけよ戀でもすればまた謳うから 2020-3-9
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白酒に酔わされ抱かれ紙の雛 一夜の恋の明ければ川へ 2020-3-9
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